米国株と債券は下落、インフレ率が予想通り鈍化
米東部時間11時10分、米10年債利回りは前週末比5ベーシスポイント(bp)減の1.426%で推移し、S&P500指数も0.4%下落した。米ドル指数(DXY)は0.8%値を下げ、約96.85を記録している。これは、米PCEインフレ(個人消費支出)指数(前年比2.3%上昇)が予想より緩やかな伸びを示したことが要因だ。
テク株は下落し、ナスダック100指数は前週末比1.3%減の8,265ポイントで取引を終えた。
【PCEインフレ率】
10月のPCE購買者物価指数は、予想通り、前年比で2.3%上昇した。これは9月の2.1%から上昇した数字で、予想通りの結果となった。また、エネルギーや食品の価格の変動を除くコアPCEインフレ率も上昇し、前年比で2.7%から2.8%に上昇し、エコノミストの予測を実現した。
米リージョナル銀行のエコノミストは、個人支出と収入の経済指標が予想をわずかに上回ったと指摘した。一方、米国3四半期の実質GDP成長率の2回目の推計値は年率換算2.8%で据え置かれた。
Joseph Brusuelas氏(RSM USのエコノミスト)は、重要なホリデーシーズンである黒金曜日と2024年末に向けて、家計の健全性がいかに強いかを強調している。Brusuelas氏は、「個人支出が堅調で個人所得が前月比0.6%増となったことは、2024年のブラックフライデーと年末に向けて、経済と家計がいかに健全であるかを物語っている」と述べた。
それにもかかわらず、インフレ率の上昇が見られたとしても、12月18日のFOMC(金融政策決定会合)で米連邦準備制度理事会(FRB)は政策金利を25bp減額するという見方を、Brusuelas氏は続けている。先物市場では金利カットの70%の確率が織り込まれている。
【日銀の利上げ見込みで円高】
一方、米経済指標が注目された一方で、水曜日の市場はキャリートレードの解消や12月の日銀の利上げの可能性が高まっていることなどが影響を与えた可能性がある。
日本円は対米ドルで1.2%上昇し、3日連続でドルに対する勝ち越しとなった。
10月の米国インフレが上昇したという統計に合致しているといえるだろう。
BBVAの外国為替ストラテジストAlejandro Cuadrado氏は、火曜日のクライアントノートで「投資家は来月、日本銀行による利上げを見込んでいる」と指摘した。
金利先物曲線は、11月初めの30%から12月の日銀による利上げに関する確率を示すものに変わり、65%の確率となっている。
水曜日に見られた円高は、今年8月の初めにも見られたキャリートレードの危機を思い出させるもので、そのときには急激な円高ドル安の動きが世界の市場に衝撃を与えた。
その後、米2024年大統領選挙でドナルド・トランプ氏が勝利したことで、円は対ドルで5%以上下落した。
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写真提供:Pixabay