トランプ米大統領はまたしても急進的なアイディアを打ち出しました。連邦所得税を関税収入に置き換えるというものです。トランプ大統領は先ごろのインタビューで、関税だけで個人所得税の必要性を廃止するだけの収入を生み出す「可能性がある」と述べています。
しかし、このアイディアは多くの経済学者から広範な批判を受けています。
出来事:トランプ大統領は4月15日のFox Newsのインタビューで「関税収入が大きい可能性があるため、それが所得税を置き換えることができる」と述べました。
この発言は、最近、大半の国からの輸入について普遍的な10%の関税を徴収し、中国製品について145%まで関税を引き上げるというトランプ大統領の決定を受けたものです。
関連記事:複数の専門家によると、この提案は現実的ではないとのことです。CNBCによると、「それは現実的な提案ではありません」と、Tax FoundationのAlex Durante氏は述べています。
同団体の見積もりによると、普遍的な10%の関税は10年間で2.2兆ドルを集めるとされています。 しかし、この数字には以下のようなトレードオフが伴います。 同じ政策を採用した場合、米国のGDPは0.4%減少し、結果として経済全体の成長が抑制されるとのことです。
Peterson InstituteのKimberly Clausing氏も同様の懸念を示しています。「関税税基盤は所得税税基盤よりもずっと小さいです」と彼女は述べ、米国が2023年に3.1兆ドルの商品を輸入し、一方で所得税は20兆ドル以上の所得に課税されていることを強調しました。
最適なシナリオでも、関税の見積もりは大きく割を食らうものです。米国国税庁(IRS)はすでに今年度の所得税を1.14兆ドル集めています。 「1000億~2000億ドルの関税収入に到達したとしても、かなりラッキーだと思います」と、ムーディーズの最高エコノミストであるMark Zandi氏は述べています。
トランプ大統領の関税ビジョンが全体として見て不安定な状況のなかで提示されたという背景も見逃せません。 国際通貨基金(IMF)は、米中間の貿易摩擦を原因として、2025年の米国の成長見通しを2.7%から1.8%に下方修正しました。
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