イーロン・マスク氏は、2024年の大統領選挙に向けて、1億3,000万ドル以上の資金を投入したトランプ大統領の最大の支持者の一人として浮上しています。しかしマスク氏は、最近になってトランプ大統領の経済政策が短期的には厳しい状況をもたらすかもしれないと支持者たちに伝えました。なぜならマスク氏や他のトランプ大統領の支持者であるトップ官僚たちは、政府支出を削減する支援をする計画を立てているからです。
トランプ大統領は、自国内で生産された商品を保護するため、20%の関税を全ての輸入品に、そして、中国からの輸入品に対しては60%という非常に高い関税を課すという提案を取りまとめました。トランプ氏とその支持者たちは、この関税が企業に国内での生産を奨励すると主張していますが、経済学者たちは、この関税が消費者に転嫁されることになり、それによりインフレが高まると警告しています。
関連リンク: トランプ大統領の億万長者の支持者は、財務長官に指名されたらイーロン・マスクの仮想通貨ドージコインに参加するだろうと提案、これらの補助金の撤廃を推奨 先週金曜日、トランプ大統領の再選を支援するマスク氏の支持団体、アメリカPAC(政治行動委員会)主催のタウンホール会合で、マスク氏が支持者たちに警告を発表しました。
「最も重要なのは、我々は自分たちにできる範囲の生活のために支出を減らさなければなりません。そしてこれには一時的な困難を伴うことになりますが、これが長期的な繁栄をもたらします」とマスク氏はニューヨーク・タイムズによって語ったところです。
マスク氏は、トランプ政権で「政府効率」の担当役職を検討する考えを示しており、また、連邦政府の支出を削減することにも賛成しています。 ジョン・ポールソン氏(John Paulson)は、インフレ低減法(Inflation Reduction Act)で成立したクリーンエネルギー関連のインセンティブなどの手段を通じて、マスク氏を助けることを誓っています。
マスク氏は、新たに打ち出した政府の支出削減案において、年間2兆ドルの国家支出の削減を約束しましたが、どのように、またどのようなプログラムが削減されるのかについては答えていません。ウォール・ストリート・ジャーナルによれば、アメリカ政府が昨年6兆ドル以上を費やしたことを踏まえると、この削減幅は約30%に相当します。 米議会予算局によれば、昨年の連邦政府の義務的支出は、社会保障とメディケアに支払われたものを含む、合計で約7兆8000億ドルでした。
トランプ大統領は、昨年の政府支出の半分以上を占める社会保障およびメディケアの支出を削減しないと公約しています。
もしトランプ政権が年間2兆ドルの国家支出を削減すれば、その結果として防衛支出や、ワシントン・ポストによれば、メディケイド(Medicaid)のような人気のある社会プログラムにも影響が及ぶ可能性があります。しかし、これらの社会プログラムは、国の予算設定に関して両党の有権者から支持を受けているため、マスク氏とトランプ氏の予定された予算削減案は、最終的には政府の支出に対する決定権を持つ議会を通過するのは難しいかもしれません。
連邦法執行機関の予算を含む、全体の1兆6,000億ドルの自由裁量支出が削減されたとしても、それでもマスク氏の2兆ドルという目標に到達するためには、さらに4,000億ドルの支出が削減される必要があります。
これらのハードルを乗り越えるためには、政府の支出を2兆ドル削減するというトランプ大統領の提案が実行される可能性は低いと考えられます。なぜなら、トランプ前政権時代にも、トランプ大統領は公約を破って毎年国家の赤字を増加させ続けたからです。
トランプ大統領が提案した関税計画に加え、アメリカ企業を支援するための政府支出の削減は、経済を揺さぶりうると、専門家たちは警告しています。
イーロン・マスク氏は、トランプ大統領の提案が実行された場合、市場は暴落するだろうというX社ユーザーからの提案に対して反応しました。しかし、安定が回復された後、より強靭な経済に向けて急速な回復が続くかもしれないとマスク氏が答えたのは、このような理由からです。 マスク氏は、「まさにその通り」と答えています。
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フレデリック・ルグラン氏によるイーロン・マスク氏とドナルド・トランプ大統領の写真 © COMEO / シャッターストック