ブラジル当局は、中国EV大手BYD Co Ltd。(OTC:BYDDY)がバイーア州サルヴァドールに建設している工場の建設を中止したと発表した。理由は、労働条件が「奴隷と同等」とされる状況で働かされていたとして、労働省検察官事務所(MPT)が163人の労働者を救出したからだ。
出来事:声明によると、当局は現場で働く163人の労働者を救出した結果、バイーア州における工場の建設を停止するよう命じたという。
当局は、労働者用の宿舎を閉鎖し、同様の措置をBYDと、同社がブラジルにおいて建設工事を請け負っている日本の建設会社Jinjiang Construction Brazil Ltdにも通達した。MPTはこの事態について声明を出し、それによると、労働者たちは主に4つの宿舎で働かされており、その労働条件は奴隷労働と同等の状況にあったという。
宿舎のうちの1つでは、労働者たちはマットレスのないベッドで寝、31人の労働者が1つのバスルームを共有して使っていたという。
また、建設現場では600人の労働者に対してトイレが8つしかなく、しかもそのメンテナンスも不十分であるとMPTは指摘。さらに事故が多発しているとも述べている。1つの事例では、労働者が25日間休憩を取らなかったために事故に遭遇したという。
MPTはまた、こうした労働環境は「強制労働」に当たるとの見解を示した。もし労働者が6か月間働いた後に契約を解消すると、その労働者は自国に戻るまでの間に給料が一切支払われないという。なぜなら、BYD はその労働者たちの航空券代をブラジルとの往復便分として控除していたからだ。声明によると、それ以外にもさまざまな費用が控除されていたという。
なお、BYDはBenzingaのコメント依頼には直ちには回答していない。
なぜ重要なのか: BYDは中国最大手のEVメーカーで、中国、欧州、そしてブラジルでもプラグインハイブリッド車や電池電気自動車を販売している。同社は2023年11月には3万台を超える新エネルギー車両を製造し、前年同月の31万6510台に対しても増加が見られた。
BYDは2023年第4四半期にビッグプレイヤーであるテスラを追い越した。しかし、テスラは2024年第1四半期にその座を奪還し、それ以来ずっと首位をキープしていた。
なお、7月から9月にかけての第3四半期について、BYDは営業収益が2011億2000万人民元(約2825億ドル)、純利益は1160億人民元に達した。
同社の新工場は来年にも稼働予定だった。
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写真提供:シャッターストック