米国大統領選挙での勝利が確実視されているドナルド・トランプ氏が、メキシコ湾の名称を「アメリカ湾」と改名するよう提案し、その際に「それは素敵な響きだ」と述べたが、クラウディア・シャインバウムメキシコ大統領は独自の領土改名の提案で反応した。
1607年の北アメリカ地図に注記されていた「メキシコのアメリカ」という地名を指し示しながら、シャインバウム大統領は陽気にもその名前に戻すことを提案した。
「なんで、僕らがそれを『メキシコのアメリカ』とは呼ばないのだろう? それってすごく素敵な響きじゃない?」とシャインバウム大統領は水曜日、メキシコシティで記者団にこう語った。
ところがトランプの発言に対し、メキシコのシャインバウム大統領は好意的な反応を示さなかった。トランプ氏が「メキシコは基本的に麻薬カルテルに支配されている」と述べたため、シャインバウム大統領は反論したのだ。
「彼らは彼に誤った情報を提供したのだ。メキシコでは、民が支配している」と彼女は言った。
それでも、シャインバウム大統領は、メキシコとトランプとの間に良好な関係が築かれると確信していると記者団に語った。
「そして、私たちはトランプ大統領の政府と協力し、互いを理解し合うでしょう。私はそれを確信しています…私たちの主権を、自由で独立したそして主権を持つ国家として守ります」
トランプ対シャインバウム、初めての衝突ではない
トランプ氏は、2024年10月に圧倒的多数で選出されたノーベル賞受賞の気候科学者であるシャインバウム大統領とは、彼女が大統領に就任して以来、実質的に頭角を表してきた。最初の論争はトランプ氏が、メキシコからの輸入に25%の関税を課す意向を発表した2024年11月末に始まった。このトランプ氏の発言に対し、関税が実施されるとメキシコも同じことを行うとシャインバウム大統領は反応した。
同時期に米国で脈々と続くフェンタニル危機について言及した際、トランプ氏は事実上メキシコを非難した。これについても、シャインバウム大統領は反論した。
「米国の麻薬乱用問題も移民問題も、脅迫も関税も解決できるわけがありません」と、当時シャインバウム大統領は述べた。彼女は、麻薬危機の悪化を緩和するための協力的な解決策を求めた。
トランプ氏は、メキシコにいるすべての不法移民を元の出身国に関わらずメキシコに送還する考えを示しており、シャインバウム大統領は当初これに反発していたものの、最近ではメキシコも移民を受け入れることは可能だと述べた。ただし、その前提としていくつかの条件を付け加えた。この条件の一つには、特定の国籍を持つ人々を制限する権利が含まれる。彼女はまた、メキシコが補償を要求することもあるかもしれないと付け加えた。
一方、トランプ氏の領土問題に関する提案の標的になった他の国々は、メキシコのシャインバウム大統領ほどは冗談を好まなかった。パナマ運河を米国が取り戻すために軍事力を使用しないことを解除し、またグリーンランドを米国に復帰させるためにはしっかりと両手を使うべきだというトランプ氏の主張は、それぞれの場所の指導者だけでなく、住民にも不快感を覚えさせた。もちろん、カナダにもトランプ氏の提案が届くことはないだろう。
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写真:シャッターストック