ジェフ・ベゾス氏の率いるAmazon（NASDAQ:AMZN）が英国で初の軍事契約を獲得し、防衛通信への一歩を踏み出した。
Amazonの衛星事業である「プロジェクト・クイパー」が、英国国防省と830,000ドルの契約を締結し、先進的な宇宙ベースの通信システムを探求することが明らかになったとThe Telegraphが報じた。発表によると、後の調査結果は英国宇宙軍部隊に報告されるという。
プロジェクト・クイパーは、イーロン・マスク氏の「Starlink」に対抗するAmazonの取り組みだ。Starlinkはすでに約7,000基の衛星を軌道に乗せ、数百万人にインターネットを提供している。一方でAmazonも、今年中にはStarlinkの衛星よりも多い3,000基以上の低軌道衛星システムの打ち上げを計画しており、それに続くサービスも近く開始される予定だ。
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英国国防省との契約において、Amazonは「通訳」衛星に焦点を当てている。これは、異なる軍事、政府、そして民間衛星システムが互いに通信できる可能性をもたらす技術だ。現時点では、ほとんどの衛星は自分のネットワークに制限されている。
米国の国防高等研究計画局（DARPA）も、同盟国間の連携強化を目指し、類似の技術を活用するプロジェクトを進行中だ。
Amazonは、イギリス国防関係者に接近するための動きを取ってきた。昨年、プロジェクト・クイパーの幹部とベゾス氏のロケット会社であるブルーオリジンの幹部が、英国宇宙軍部隊のトップの一人であるポール・ゴドフリー空軍大将と会合を持ったとThe Telegraphが報じている。
このほか、この取り組みは米国での軍事契約も進めており、軍事通信へのさらなる進出がうかがえる。
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Amazonはすでに、クラウドコンピューティングとデータストレージのための数十億ポンド規模の契約を獲得したことがあり、そのため英国政府の主要なITサプライヤーとなっている。今回、Amazonは衛星通信分野にも進出することとなる。
英通信規制当局(Ofcom)から規制の承認を得たことで、Amazonは英国での衛星インターネットサービスの提供を認められた。現在、Starlinkは英国で約8万7000人の顧客を持っており、その多くは伝統的なブロードバンドが利用できない地域に住んでいる。
もちろん、システム上は米国の政府機関などもStarlinkの代替案について検討を続けており、ある意味でAmazonの進出はその一環だ。欧州連合は、それ自身が独自の安全な宇宙ベースの通信ネットワークを確立することを目指した、Iris2という衛星プロジェクトに取り組んでいる。
一方で英国政府は、Eutelsat OneWebに出資しているが、同社の機器はStarlinkの技術を利用しており、そのためStarlinkの代替案としても検討されている。
イギリスだけでなく、Amazonは他国政府ともプロジェクト・クイパーの可能性について協議を続けている。政府を含む多くのステークホルダーは、マスク氏のビジネスリンクが中国との間にあることに懸念を抱いているためだ。
例えば台湾では、政府高官たちがこのシステムをStarlinkの代替案として検討している。米国との貿易問題により、カナダの政府もStarlinkとの契約を解除することを検討している。
英国政府は、独自の軍事衛星計画にも前進している。イギリス国防省は、イギリスの国防通信をアップグレードすることを目指した62億ドル規模の「Skynet 6プログラム」に関して、エアバスとロッキード・マーティン（NYSE:LMT）を最終入札者として選定した。
さらに、英国政府は、情報収集衛星ネットワークへの17億ドル投資についても検討している。
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