経済学者のポール・クルーグマンは、トランプ大統領が連邦準備制度理事会(FRB)の独立性を損なう行為をすることについて厳しい警告を発した。
トランプの「無茶な経済政策」
木曜日のニュースレターで、クルーグマンは過去1週間の出来事を、「根拠のない主張」によるトランプのFRB理事リサ・クックの解任の試みについて、経済政策を注視している者にとって「衝撃的で恐ろしい」と述べた。
クルーグマンはFRBの独立性が「近いうちに失われるだろう」という「十分な可能性」があると懸念しており、トランプと彼の側近は道を阻む者の人生を破滅させるだろうと予想している。
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トランプは過去に積極的な利下げを要求したが、クルーグマンは経済が回復し順調に推移していると主張している。この主張は大多数の経済学者によって利下げではなく利上げの合図と見なされている。
クルーグマンはこれをトランプの「突飛な経済原理主義」と呼んでおり、遅かれ早かれ高いインフレ率に繋がり、最終的に経済的な大惨事を招くだろう。
市場にとっての「ワイリー・コヨーテの瞬間」
クルーグマンは状況の深刻さにもかかわらず市場は引き続き冷静であると指摘し、こう言っている。「市場は明らかにそうでないことが分かるまで、すべてが正常であるかのように行動する」
2008年のサブプライム危機や2010年のユーロ圏債務危機などの歴史的なエピソードを引用し、クルーグマンは「市場の価格形成は巨大かつ破壊的な出来事の可能性をほぼ考慮しない」と主張している。クルーグマンは代わりに市場は「定説の理解者」として振る舞っていると述べ、これは経済学者のネイサン・タンクスが造った用語である。
クルーグマンはこれが「ワイリー・コヨーテの瞬間」になる可能性があると警告した。この瞬間は、市場が崖から落ちて下を見た時に「支えが何もない」ということを悟ることに例えられている。
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写真提供:ShutterstockのJonah Elkowitz