ドナルド・トランプ政権が量子コンピューター企業への出資の可能性を検討している一方で、IBM(NYSE:IBM)は静かにその時代の先を行っている。2017年以降、IBMの量子部門は約10億ドルの収益を上げているが、この数字はまだ初期の商業段階にあるほとんどの量子コンピュータースタートアップを圧倒している。
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IonQ Inc(NYSE:IONQ)やD-Wave Quantum Inc(NYSE:QBTS)などの企業が事業拡大を始めたばかりであるのに対し、IBMはすでにその量子技術をより幅広く収益性の高いビジネスと組み合わせている。
収益と誇大広告:IBMは一線を画す
量子コンピューター企業が皆同じというわけではない。トラップドイオン量子クラウドサービスを運営するIonQは、今年9,500万ドルの収益を目標としているが、純損失を出し続けている。量子アニーリング技術を用いた最適化問題で知られるD-Waveは昨年900万ドルを売り上げており、2025年には加速が期待されている。
Rigetti Computing Inc(NASDAQ:RGTI)はフルスタックの量子サービスを提供しているが、政府の契約遅延により収益は不安定だ。 その一方で、Quantum Computing Inc(NASDAQ:QUBT)や、Alphabet Inc(NASDAQ:GOOGL)(NASDAQ:GOOG)の量子部門のような収益前の企業は、主に研究開発に重点を置いており、売上成長への寄与は最小限にとどまっている。
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このような状況の中で、IBMの数字は際立っている。累積10億ドル近い収益は、同業スタートアップの10倍以上の規模であり、商業面での量子コンピューティングが単なる投機的な誇大広告にとどまらないことを示している。その量子技術はハイブリッドクラウドソリューションやソフトウェア開発キットを含む大規模な技術エコシステムに統合されており、スタートアップが商業化を追い続ける中、IBMには収益化への道筋がすでにあるのだ。
政府の関心は追い風に
トランプ政権による量子技術企業への出資の可能性は、投資家の注目を再び集めている。見出しニュースが派手なスタートアップの発表や目を見張るような予測に焦点を当てることが多い中、IBMの安定した収益実績は、同社がより堅実で成熟した選択肢であることを示している。
投資家は、量子コンピュータ分野の投資先として、IBMを投機的な期待と現実の採用の橋渡し役と見なせるだろう。
約束と収益前評価で溢れる市場にあって、IBMは量子コンピュータが既に真剣な収益を生み出していることを証明している。その収益面でのリードは、同社の技術的優位性を強調するだけでなく、確立されたテクノロジー大手企業と野心的な新興企業との間の商業的なギャップを浮き彫りにしている。政府の関心が新たなスポットライトを当てる中、IBMは投資家が最も注意を払うべき量子関連銘柄かもしれない。
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