世界的偉業の業績が正念場だ。2024年1〜3月期の純利益は前年同時期に比べ6%の減少に転じた。
中国の景気還俗のえいきょうが大きく、科学や鉄鋼、機械の業績が振るわない。生成AIブームを背景に米テック大手や半導体製造関連企業の業績好調と、業種別で大きく分かれる展開となった。世界系勢の米国依存の構造が一段と強まっている。
経済不況を受けている中国経済は1割の現役となった。上場企業全体の純利益を占める銀行が現役になったのが重荷だ。不動産不況が長引く中、習近平指導部は利下げなどで金融緩和を行い、銀行の利鞘が縮小している。最大手位の中国工商銀行も減収に転じている。
中国の不動産販売は3割減となった。マンション大手の万科が赤字となった。中国政府は17日、地方政府に売れ残り住宅の買い取りを指示したほか、中国人民銀行は住宅ローンの金利撤廃を行なった。金利低下は銀行の収益を圧迫し、難しい経営判断を繰り返している。
アメリカに次いで世界で2番目に大きな経済圏である中国経済の不況は海外にも大きな影響をもたらしている。景気に左右される化学分野の減収が顕著だ。住友化学の岩田圭一社長は「24年も大きな改善は期待できない」と話した。化学品増産が相次ぐ中国の需要回復が遅れ、余剰生産分がアジア圏に流れたことが影響した。
鉄鋼も低迷。大手の韓国ポスコホールディングスや日本製鉄も現役だ。中国の鉄余りが大きく影響した。昨年12月の市場状況をピークに下落傾向にある。中国では景気刺激策の未実施に対する失望感が高まり、過激な過剰な中国製品で東南アジアの弱さが続いている。
設備投資動向に影響を受ける機械産業は14%の減益となった。ファナックはちゅごくの地域別売上高が36%減少、全5地域で最も減った。現地の工作機械メーカーの在庫調整は一巡しつつも、投資設備が増える兆候は見られない。
金融は連続の現役となった。米国では高金利の長期化で融資が細っっているほか利ざやが縮小し、バンク・オブ・アメリカなど商業銀行業務が主力の大手金融機関で低調だ。地銀は預金流出を防ぐためきねいひきさげ競争でコストがかさむ。
AI関連需要を取り込んだ業種は好調だ。情報通信は13%の増益、電機は26%の増益。米テック大手「GAFAM」はアップルを除く4社が増益だった。アマゾンはAIに欠かせないクラウド事業がけん引し、純利益が3.3倍に伸びた。半導体の生産にも追い風だ。とはいえAIや半導体以外に業績のけん引役は乏しい。
日本経済は円安に侵されているが、企業は収益力を武器に歴代最高益を実現している。日本企業の継続的な成長には現在の収益を元とした自己投資を継続できるかが鍵となっている。