台湾セミコンダクター製造(NYSE:TSM)の株価は木曜日にトレンドとなった。同日に同社はカリフォルニア州サンタクララで開催された北米テクノロジーシンポジウムにて新しいA14(1.4nm)ロジックプロセステクノロジーを発表したためである。
TSMは、Nvidia(NASDAQ:NVDA)やApple(NASDAQ:AAPL)といった業界の巨人企業への重要な部品供給企業であり、次世代技術の発表は現在進行中の人工知能(AI)ブームにおける同社の中心的役割を浮き彫りにした。
この先進的なA14プロセスは、同社のN2(2nm)技術の後継と位置付けられている。同社は、A14は同じ消費電力において最大15%の高速パフォーマンスを、同じスピードで最大30%の消費電力削減を提供し、ロジック密度を20%超押し上げると述べている。
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生産は2028年に予定されており、同社は歩留まりがすでに予定よりも先を行っていると報告している。
この台北に本社を置く製造業者はまた、設計の柔軟性と効率性を高めるとされるナノシート型トランジスタ標準セルアーキテクチャの進化系であるNanoFlex Proも紹介した。
過去1年で同社はAI熱狂に乗じ、株価は年初来で42%以上上昇し、PHLX半導体指数の26%上昇をアウトパフォームした。
主要市場におけるイノベーションと戦略的コラボレーション
A14プロセスの他に、同社は高性能コンピューティング(HPC)、スマートフォン、自動車、モノのインターネット(IoT)プラットフォームにおける重要な進歩も発表した。
HPCに関して、TSMは2027年に9.5レチクルサイズのCoWoSパッケージングソリューションの量産を開始すると発表した。これにより12以上のハイバンド幅メモリースタックと最先端のロジックの統合が可能になる。
また、現在のCoWoS技術の40倍の計算能力を提供することが期待されているウェハースケールシステムのSoW-Xも発表した。
スマートフォン部門において、TSMはN4C RFを発表した。これはWi-Fi8やAI強化ワイヤレスオーディオなどの次世代標準をサポートするよう設計された最新の無線周波数プロセスである。
自動車顧客向けには、N3Aプロセスは現在、AEC-Q100グレード1の認証を取得し生産に入っている。同社はまた、IoT向けの超低電力ファミリーをN4eで拡張し、厳しいエネルギー予算のAI駆動エッジデバイスをターゲットにすると述べた。
このシンポジウムでは、TSMのパートナーとの連携が深まっていることも強調された。Synopsys(NASDAQ:SNPS)は、多数のダイを組み合わせたソリューションを提供するため、先進的な電子設計自動化(EDA)およびIP製品とTSMの最先端プロセスおよびパッケージング技術を組み合わせるパートナーシップを拡大すると発表した。
AIチップ開発とマルチダイ統合の加速を目的とするこのコラボレーションにより、すでにSynopsysの3DICコンパイラとTSMの高度な設計有効化プラットフォームを通じて複数のカスタマーテープアウトが可能となった。
パートナーシップは高度な3D統合技術にまで拡大しており、Synopsysは次世代のTSMノード向けに高帯域幅メモリ、イーサネット、PCIe、UALink、自動車用途をカバーする形でIPポートフォリオの開発を進めている。
このコラボレーションの一環として、SynopsysとTSMは大規模で複雑な設計をサポートするためにマルチフィジックス解析フローも拡大した。
このマルチフィジックス手法は、Ansys RedHawk-SC、RedHawk-SC Electrothermal、およびSynopsys 3DICコンパイラを活用しており、3DICプロジェクトの収束を早めるために階層的、熱認識、電圧認識タイミング分析を可能にしている。
同様に、Cadence Design Systems(NASDAQ:CDNS)は、TSMとの長年のコラボレーションを通じて新しいチップ設計自動化およびIPの進歩を発表した。
このパートナーシップは、TSMの最先端プロセスノード向けに高度な設計インフラを構築することで、AIおよびHPC開発の加速に焦点を当てている。
CadenceとTSMは、Cadence Innovus、Tempus、Voltus、Pegasus、Virtuoso Studioなどのツールを使用して、N3、N2、A16のフローで作業している。
価格の動き:TSM株は木曜日の時点でプレマーケット取引で1.96%下落し、275.20ドルで取引されていた。
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