期待外れのインフレ率報告が相次いだことで、米国財務省市場が冷静さを保つことができていない。金曜日には米国債の利回りが再度上昇し、政策の不一致が米連邦準備制度理事会(Fed)を動かすかもしれないという憶測を煽っている。
労働統計局による金曜日の報告書によると、3月の卸売物価の主要指標である生産者物価指数(PPI)は月次ベースで0.4%減少し、2023年以来の最大の減少を記録した。年次ベースでは、生産者のインフレは2.7%に鈍化し、これは経済学者が予想する3.3%の数字を大幅に下回るもので、2月の3.2%からも下がった。
食品とエネルギーの値動きを除くと、コア生産者物価は月次で0.1%減少し、年次で3.3%増加したが、それでも予測を下回る数字となった。
3月のPPIの中で最も原材料価格が下落したものには、以下のものが挙げられる。
- 新鮮な用途の卵:-21.3%
- 新鮮で乾燥した野菜:-13.0%
- 果物とメロン:-12.2%
- ガソリン:-11.7%
- ディーゼル燃料:-6.5%
このデータは、先週の木曜日に発表された消費者物価指数(CPI)の冷静な結果に続いてのものである。消費者レベルでの価格上昇圧が鈍化していることが示された。
この冷静なインフレの背景にもかかわらず、米国債価格は上昇している。10年物の利回りは7ベーシスポイント上昇し4.50%、30年物の利回りも5ベーシスポイント上昇し4.92%になった。両方の利回りは、この週だけでも約50ベーシスポイント上昇している。
人気のある20+年物国債ETF(NASDAQ:TLT)も、4月2日のトランプ大統領の関税発表以来7%下落している。
この数字を見て、アカウント名@FrogNewsが投稿した情報は、物議をかもすものだった。X上で「こういう数字は景気後退のときだけ見るものだ」との投稿があった。「このような出来事が起きると、貴方のFedはインフレよりもデフレの方がずっと心配すべきだ。」
「生産者物価の圧力は予想以上に緩和している。これはFedや市場にとって望ましい兆しである。市場はディスインフレーションの証拠を狩っていた」と、Zaye Capital Marketsの最高投資責任者であるニーム・アスラム氏。
一部のアナリストは、最近の関税関連の動きがデータを歪めていると見ている。 チャールズ・V・ペイン氏は「2月のCPIとPPIの上昇は関税に関する話が影響を与えた。なぜなら需要が前倒しされたからだ。そのため、3月にそのような需要が消えたことが非常に興味深い」と述べた。
ボンド・バイジランテはディスインフレーションの話を信じていない
連鎖的なディスインフレ報告にもかかわらず、米国債の利回りは今週で約50ベーシスポイント急騰している。これは直感に反する現象である。一般的に、インフレの低下が予想されると、トレーダーは金融政策の緩和を予想して、利回りが下がる方向に動くはずだ。
しかし、債券市場にはこのデータは受け入れられていない。
シュワブ金融研究センターの最高債券ストラテジスト、キャシー・ジョーンズ氏は、「債券市場の反応はPPI報告には過剰にはみ出ていない」と語り、インフレは緩んでいるが、市場の関心は政策の不確実性と幅広いマクロ経済リスクにシフトしていると述べた。
この理論は、特に航空運賃などの商品に関連するPPIのコンポーネントの結果を見ても確認できる。
PCEに組み込まれるPPIのコンポーネント:
航空旅客サービス | -4.0% |
ポートフォリオ管理 | 0.2% |
医師の診療 | 0.0% |
在宅医療・ホスピスケア | 0.0% |
病院の外来患者のケア | 0.3% |
病院の入院患者のケア | 0.1% |
介護施設でのケア | 0.2% |
連邦公開市場委員会(FOMC)が5月7日に開く会合での金利引き下げの可能性は低いままで、市場はこの会合で25ベーシスポイントの利下げが行われる確率を25%に見積もっている(CME FedWatchデータによる)。
しかし、最近の米国債市場での騒動と、ドルの安定に対する懸念が高まっていることは、連邦準備制度が早期に介入し、市場の流動性を確保する可能性があることを示すものだ。
今の鍵となる質問は、政策立案者がインフレ率の低下という遅れたデータに反応するか、それとも関税政策や関連する経済リスク、不確実性に反応するか、ということである。
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画像はMidjourneyによって作成されたもの。