連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長は、大幅なインフレ抑制が続く中、政策決定者は金利を調整する緊急性はないと再度指摘した。これは、FRBの2%のインフレ目標に向けて大きな進展が見られるものの、インフレ圧力が依然として継続しているという考えを示したものだ。
パウエル議長は金曜日、ワシントンで開催された上院銀行委員会で、「経済全般においては強い状態にあり、(過熱した状態からは)冷静になったものの、依然として回復力を持っている労働市場がある」と説明した。
ここ4カ月で、新規雇用は月平均で18.9万件増加し、1月の失業率は4%で据え置かれた。パウエル議長は「労働市場は、インフレ圧力の主要な要因ではない」と指摘した。
インフレについては、過去2年間で目立った下落が見られたが、「インフレ率は依然として何らかの上昇を示している」と強調した。
直近の個人消費支出者物価指数は、12月時点で前年比2.6%増、食品とエネルギー価格の変動を除いた核PCEは2.8%増となった。
パウエル議長、「金利政策で慎重な姿勢を強調」
FRBは9月以降、金利をピークから1%下げてきた。
パウエル議長はこの変化を「インフレの進展、及び労働市場の冷却が進んだ」として「適切だ」と説明した。
それでもパウエル議長は、「我々は政策姿勢を調整する緊急性がない」と再確認した。
パウエル議長は「金利を『速すぎるか、多すぎるか』で引き下げることは、インフレに対する進展を停滞させるかもしれない一方で、『遅すぎるか、少なすぎるか』で動くと、経済活動と雇用に対して不当なほどに弱くなる可能性がある」と述べた。
これからは、FRBは政策調整を行う前にデータに依存し続けるとのこと。
パウエル議長、「景気後退への懸念を退ける」
質疑応答の場で、パウエル議長は景気後退のリスクに対して反発し、経済のより広範な強みを再確認した。
ケネディ上院議員(共和党・ルイジアナ州)は、FRBが長期債利回りにどのような影響を与えているかについて尋ねたが、パウエル議長は「われわれは何らかの影響を持ってはいるが、ほとんどはない」と答えた。
パウエル議長は長期金利は、将来の短期金利の期待値、インフレリスク、財政赤字によって駆動されており、これらの要因はFRBの直接的なコントロールの外にあると説明した。
FRB議長は、大統領がFRB理事を解任できるかという質問に対し、「法で禁じられている」と述べた。
ハガティー上院議員(共和党・テネシー州)は、FRBがまた利上げを行うとき、利上げが景気を抑制しない程度までには金利は上昇するという中立金利について、パウエル議長に問いかけた。
「中立金利は実質的に上昇するだろう」とパウエル議長は述べた。
パウエル議長は、労働市場の弱さやインフレに対する懸念が薄れたことを強調。パウエル議長は、新型コロナウイルス感染拡大前の歴史的な低水準からの変化となった中立金利が上昇したと考える同僚も多い、と述べた。
貿易政策について、リード上院議員(民主党・ロードアイランド州)は、パウエル議長が2018年に述べた「通商を開放し、関税を含めて障壁を設けなかった国々は、より速く成長し、より高い収入を達成してきた」という発言を引用した。
パウエル議長はこの見解を主張したが、具体的な関税政策についてはコメントを控えた。これには、中国、カナダ、メキシコに関するトランプ大統領の関税についても含まれる。
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