水曜日、米国の地方裁判所が、生物医学研究助成金の間接費率を急激に削減し、上限を定めるという米国国立衛生研究所(NIH)の方針を巡って、国内全体に対する差止命令を発令した。
この判決により、今回の政策転換が行われることは阻止された。この政策転換は、数十億ドルの資金に影響を及ぼし、進行中の研究や臨床試験に混乱をもたらすだろう。
この物議を醸したのは、NIHが助成金の間接費率を改訂するため、2025年2月7日に補足指針を発表したことがきっかけだ。
NIHは新規および既存の全ての助成金について15%の標準間接費率を適用すると発表し、これまでの各助成金に対する別々の率を交渉するという手法に取って代わるという。
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NIHの間接費率は、歴史的には助成金の平均間接費率が27%~28%で、一部の施設では50%、さらには60%などと請求している。
批評家たちは、NIHが公開通知やステークホルダーからの意見を求めることなく発表したこの政策は、全米の研究機関の存続を脅かすものであると主張している。
これに対して3つの独立した訴訟が提起され、22の州検事総長、複数の医学団体、および筆頭大学がこれに応じて提訴した。Thomson Reutersは、訴訟文書のコピーをオンライン上で公開した。
原告たちは、NIHの一方的な行動が連邦法規制を破り、法定権限を超え、行政手続法に違反していると主張している。また、臨床試験や医学の進展における潜在的な損害を挙げた。
NIHの予算は480億ドルで、がんや糖尿病などの疾患に関する重要な研究を行っている27の研究所を持っている。
2023年にNIHは、5万件近い助成金に対して総額350億ドル以上の研究資金を拠出した。その内訳は、研究に対して260億ドル、間接費に90億ドルが割り当てられた形だ。
この差止命令を与える判決において、裁判所はNIHの政策転換が既存の法律を無視しており、国の研究基盤に重大な悪影響を及ぼし、適切な手続きを踏んでいないと判断した。
この判決により、現行の資金構造が大きく変わることは無くなる。
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