ユーチューブの創業者であるテスラのCEOイーロン・マスクが、米国大統領選で勝者となったばかりのトランプ次期大統領とウクライナ大統領ヴォロディミル・ゼレンスキー氏との間で行われた電話会談に、意外な形で同席した。この電話会談は、トランプ氏が再選を目指し大統領選を戦うのに伴う政権移行期間の中で行われたもので、CNNによると、電話会談は「前向きかつ友好的な雰囲気」の中で行われたという。
この電話会談において、ゼレンスキー氏がトランプ大統領の勝利を祝うために電話をかけた時、マスク氏はフロリダ州パームビーチにあるトランプの私邸マーララゴにいたと報告されている。この短い会話は、大統領の交代期間中にあっては形式的でありながらも注目すべき出来事とみなされている。
マスク氏、ウクライナの情報伝達の役割
CNNによれば、トランプ氏はスピーカーフォンでゼレンスキー氏に電話をかけ、この中でゼレンスキー氏はマスク氏に対して感謝の意を表明し、スターリンクを通じてウクライナに重要な通信インフラを提供したことに対して感謝を述べた。スターリンクとは、マスク氏が率いるスペースXが提供する衛星インターネットサービスである。ロシアのウクライナ侵攻初期に配備された緊急スターリンク受信機は、継続的な紛争の中でウクライナのインターネット接続を維持する上で不可欠な役割を果たしてきた。
マスクとトランプの政治的提携が拡大
マスク氏がこの電話会談に参加したことは最初、Axiosが発表し、後にいくつかの他のニュースメディアがこれを確認した報道によって初めて明らかになった。この会話は特定の政策問題については深入りしなかったが、この電話会談におけるマスク氏の関与は、彼がビジネスと地政学の両分野においてますます増大する影響力を強調している。
関連記事:ロシア大統領プーチン氏、トランプ次期大統領に電話し祝意を表明 トランプ政権の対応が決断的であると述べる
マスク氏は、トランプ大統領の大統領選挙の支援のため数百万ドルを寄付し、公共イベントで彼と共に登壇するなど、トランプ氏の主要な支持者となっている。これに対してトランプ氏は、世界一の富豪であるマスク氏に対し、政府の運営を効率的にし、効率を向上させるために大統領府での役割を提供することに興味を示したとロイター通信は伝えている。
ゼレンスキー氏はX(旧ツイッター)を使用してトランプ氏に彼の勝利を祝うために祝辞を述べた。「私たちは、密接な対話を維持し、協力を進展させることに合意しました。世界と公正な平和のために、強力で不動の米国のリーダーシップは不可欠です」とゼレンスキー氏は述べた。
トランプ氏 、ウクライナ紛争へのアプローチ
トランプ氏は以前、ウクライナの戦争をたった一日で「解決」できると主張しているが、今回もその立場を再確認した。トランプ氏は、大統領選の当選者として、自身がその職に就く前にも平和の取り決めを交渉できるかもしれないと提案したが、具体的な計画については言及しなかった。また、トランプ氏は、対チャイナ政策の仕掛け人である副大統領候補のカマラ・ハリス上院議員との討論の中で、米国における重要な同盟国であるウクライナが戦争に勝つことを望むかどうかを明言せず、その代わりに交渉を通じて紛争を解決することの重要性を強調した。
一方で、副大統領選で当選したばかりのJDバンス(ヴァンス)氏もまた、この問題について発言している。彼はウクライナが戦争を終結させるためには、ウクライナが持つ領土の一部を譲渡することを考慮する必要があるかもしれないと述べた。
マスク氏のウクライナの軍事支援活動への関与は、非常に印象的である。ロシアがウクライナに侵攻した際、マスク氏はロシアに対抗するためにスターリンクインターネットを提供することで応え、このことは広範囲の通信障害に直面する中でウクライナ人がつながりを保つためには重要な支えとなった。スターリンクはスペースXの衛星ネットワークの一部であり、この緊急スターリンク受信機は、紛争の最中において軍事的なネットワークおよび民間のネットワークの両方を運用する上で重要な役割を果たしてきたとNBC Newsは付け加えている。
Photo: Shutterstock