音楽著作権のグローバルな価値は2023年、前年比11%増の約455億ドルに急増した。
これによって、音楽著作権の経済的強さが反映されている。2014年の音楽著作権の価値は250億ドルだった。現在の傾向が続けば、音楽著作権の価値は10年のうちに2倍になるだろう。
レコード会社とストリーミング、成長の鍵
経済学者ウィル・ペイジ氏の業界年次報告書(Billboardの発表を経て)によると、レコード会社が音楽著作権市場で最も大きなシェアを占め、2023年には285億ドル(前年比21%増)を生み出した。
また、ストリーミングは10.4%の成長率を記録し、収益源をリードし続けている一方、アナログの音楽メディアであるレコードの売り上げも強い数字を誇っており、ビニールレコードの売り上げは15.4%伸びた。多くの地域でCDの売り上げを上回っている。ペイジ氏は、この先2028年までに、レコードの売り上げが300億ドルの産業になると予測している。この成長を後押しするのは、単価の上昇とグローバルな需要だという。
ユニバーサル・ミュージック・グループNV(OTC:UMGNF)、ワーナー・ミュージック・グループ株式会社(NASDAQ:WMG)、ソニーグループ株式会社(NYSE:SONY)の子会社であるソニーミュージックエンタテインメントなど、主要な公開型レコード会社は、これらのトレンドの中で最大の恩恵を受けた。
例えばユニバーサル・ミュージック・グループは、2024年第3四半期に32億ドルの収益を報告し、ストリーミングと物理的なセールスが牽引する強い業績を示している。
作曲家の著作権ロイヤリティーのダイナミクス変化
また、楽曲の著作権者および出版者を代表して著作権使用料を集める著作権管理団体(CMO)は、2023年に収益が11%増の129億ドルにまで上昇した。著作権管理団体からのデジタル収益は、放送とラジオからの収益を上回り、伝統的なメディアに対するストリーミングプラットフォームの優位性を反映している。
しかし、出版者は、手数料や事務的な遅延を避けるために、著作権管理団体を迂回する形で、直接ライセンス契約にますます傾注している。
ペイジ氏は、「例えば3月中旬に急増する楽曲の場合、そのアーティストに支払われるのに201日かかり、作曲家には383日かかる」と説明する。これらの遅延は、手数料によって作曲家の収入の3分の1を削ることになる。
映画をしのいで、音楽が勝利
映画をしのいで、音楽が勝利
パンデミック以降における音楽業界の回復は、経済的な観点から見れば、映画業界を上回るほどの勢いを見せている。2023年には、音楽業界は映画業界に比べて38%大きく、その差がより際立っている。 2019年には、映画が音楽を33%もリードしていた。
音楽著作権の数字は、権利者に利益をもたらす貿易収入を反映しているが、映画の323億2000万ドルの映画興行収入は、配給と製作の間で分配されている。
レコーデッドミュージックとライブパフォーマンスの両面で活動するライブ・ネーション・エンターテイメント(NYSE:LYV)などの企業は、この流れを活かしている。
ストリーミングのグローバルな貿易利益
ストリーミングプラットフォームは、使用料が低い国からのアーティストにとって新たなチャンスを創出してきた。ストリーミング収益成長の80%を占める北アメリカと欧州では、ラテンアメリカやアジアに比べてかなり高い支払いが行われている。
例えば、コロンビア出身のアーティストであるJ・バルビン氏やシャキーラ氏は、2023年にはアメリカでのストリーミングから1億ドル近い収益を上げ、母国では6倍の収益を得ることができた。
Spotify Technology SA(NYSE:SPOT)やTencent Music Entertainment(NYSE:TME)など、公開型のストリーミングプラットフォームはこのような流れの形成において重要な役割を果たしている。Spotifyは、高価な市場でのプレミアムサブスクリプション収益を受け取っており、Tencent Musicは、アジアでの幅広いストリーミングとソーシャルエンターテイメントサービスを提供し続けている。
次の記事も読む:
画像は人工知能によりDall-Eを使用して作成。