ドイツの連立政権崩壊は、すでに国内外で問題に直面している欧州最大の経済をさらに圧迫するだろう。
病んだ経済について政府内で数週間にわたり紛争が続いていたが、オラフ・ショルツ総理は、水曜日にドイツの経済相クリスチャン・リンドナー氏を解任した(リンクはこちら)。ショルツ総理は、窮地に立たされたリーダーは、前回の不信任投票を否決した後、1月新たな選挙まで少数派政府を率いることになった。
政府の崩壊により、経済的、地政学的な不確実性が大きくなる中、ドイツの指導力は弱体化することになる。ドナルド・トランプ前大統領が選挙に勝利し、欧州が米国との関係を慎重に進める場面での影響が懸念される。
「総理はこの措置をとることを望んでいませんでしたが、経済相とのアプローチの違いが明確になったため、やむなくこれを決断しなければなりませんでした」と、ワシントンを拠点とするウィルソンセンターのグローバルヨーロッパプログラムディレクターのロビン・キンヴィル氏は語った。ショルツ氏は「経済相は私たちの提案のいずれも実施する意思がない」とリンドナー氏を非難し、「今後の協力において信頼の基盤がない」と述べた。リンドナー氏は、ショルツ氏は憲法上の債務制約を停止するという「最終通告」の中で、リンドナー氏が「宣誓した職務」を破るよう一方的に迫った、と反論した。
経済政策の違いがドイツ連立政権崩壊の原因
連立政権崩壊の原因は、ショルツ総理が経済政策を阻むとして解任した連立与党の一角、自由民主党(FDP)のリンドナー経済相にある。ショルツ総理は成長を促進するために政府の投資増大を求めたが、リンドナー経済相は財政支出に対する慎重なアプローチとの間でばつかんむりになった。
ショルツ総理は、「リンドナー氏は私たちの提案を実施する意志がない」として非難し、「今後の協力においては、私たちの提案に対する信頼の基盤がない」と述べた。 リンドナー氏は、連立与党の一角であるFDPから、この決断には同意しておらず、最終通告は法的に効力を持たないと反論した。
連立政権崩壊後、ドイツ10年債利回りはこれまでになくイールドスワップレートを超えた。財政への懸念が高まったもう1つの兆候が、30年債利回りの2年債利回りを上回る形で、2年以上ぶりに拡大したものだと、ブルームバーグは伝えている。
「この大規模な利上げにより、8月に記録したほとんどの利益が吹き飛び、再び国の製造業基盤が逆戻りする結果となった」とオックスフォード・エコノミクスはメモで語った。 「製造業の回復はまだそこにないというのは、需要が緩慢であり、構造的な課題が深刻であることが明らかになった。」
ドイツの連立政権は予想外のコンビネーションだった
ショルツ総理の所属政党である社会民主党(SPD)、FDP、緑の党による連立政権は、分かれた財政政策を持つ3つの政党による予想外のコンビネーションだと一部では考えられていた。
SPDと緑の党は、社会や環境政策への大きな政府支出を支持する左派政党とされている。一方でFDPは、自由な市場と財政的に慎重なアプローチを提唱するビジネス志向の政党である。
リーダーの後任には、ショルツにとっての同盟者であり、元ガードマン・サックス投資銀行家であり、現在は副大蔵大臣を務めるヨルク・キュキーズ氏が選ばれることになったと、ロイター通信が報じた。
「この数ヶ月にわたる憎しみを持って行われた内紛と、3つの意外な連立の合意の縮小が、ドイツの経済について暗い見通しをもたらしてしまった」と、ワシントンに拠点を置く大西洋評議会は指摘した。
「ヨーロッパの一度はうらやまれた成長のエンジンを再び活性化するためにドイツ経済には構造的な課題に取り組むための総合的な政府の取り組みは、再三の提案と情報リークと公然となった相互批判の中でうまく行かなかった」と同氏は語った。
ドイツの連立政権崩壊が景気に影響
政治的な内紛に加えて、高いエネルギー価格と中国の成長の鈍化の中で、 ドイツの経済は成長に失敗してしまった。最新の経済データは経済の先行きについて悲観的な見通しをもたらすことになるだろう。
ドイツ統計局(Destatis)によると、9月の工業生産は8月に比べて2.5%減少し、自動車の生産は8月に比べて7.8%減少した(リンクはこちら)。
オックスフォード・エコノミクスの同氏も同様にメモで指摘した。「この予想を超える大幅な落ち込みは8月に記録した利益のほとんどを消し飛ばし、再び国の製造業基盤が逆戻りする結果となった。」
ドイツの9月の輸出は、8月に比べて調整された暦日付き季節調整済みのベースで1.7%減少し、ドイツ統計局は木曜日に報告した(リンクはこちら)。
連立政権崩壊後のショルツの不確実な未来
ショルツ総理は1月15日に内閣信任決議を提出すると、ロイタ