アメリカの防衛・航空宇宙企業であるLockheed Martin Corporation(NYSE:LMT)は、地政学的緊張が高まる状況の中、イランを標的にしたイスラエルの戦略核施設に対する爆撃を阻止したとして、イギリス政府に対し、国家のミサイル防衛システムの開発を支援する提案を行ったと報じられている。
Lockheedの最高執行責任者(COO)フランク・セント・ジョン(Frank St John)氏が最近、Financial Timesに対し取材を受けた際に、同氏はイギリス政府高官に提案を行い、イギリス政府はアメリカの空中防衛技術の評価を検討していると発表した。
この提案は、イスラエルのアイアンドームシステムに触発された、米国の宇宙ベースの野心的なミサイルシールド構想であるワシントンの「ゴールデンドーム(Golden Dome)」構想に一致している。
このプロジェクトでは宇宙ベースのセンサーと迎撃機の展開が目指されており、Lockheedの迎撃機、センサーネットワーク、および衛星情勢認識の専門知識は、同社の提案において中心的な役割を果たしている、とFinancial Timesは付け加えている。
ジョン氏はFinancial Timesに対し、Lockheedは迎撃機、地上レーダー、衛星を組み合わせて、迅速に統合空中ミサイル防衛を展開することができると述べた。
また、ジョン氏は、イギリスおよびヨーロッパの選定された団体と提携し、相互運用可能な指揮管制システムの構築を支援できると強調した。
一方、イギリスの国防省関係者は、Lockheedの関係者が潜在的な提案について高官たちに説明を行っていると確認しているが、イギリスが「ゴールデンドーム」構想によるプロジェクトに参加を確約しているわけではないと語った。
代わりに、イギリス国防省は、NATO全体でのシステムの利用を目指し、そのために10億ポンド(約135億ドル)を投資することを検討している。
Lockheedのアウトリーチは、ウクライナ情勢の影響を受け、NATOを中心とした多国間ミサイル防衛協力への関心が高まっているタイミングで行われた。
Lockheedは現在、THAAD(Terminal High Altitude Area Defense)およびPAC-3(Patriot Advanced Capability-3)システムの製造およびLEO(低軌道)衛星コンステレーションの運用を行っている。
同社は、ATACMS(アーミー・タクティカル・ミサイル・システム)およびPatriot PAC-3ミサイルの現地製造を行うため、特にRheinmetallおよびKongsbergという欧州企業と提携している。
ジョン氏は、LockheedがRheinmetallと共にF-35の機体製造を現地で行っていることは、欧州各国における国内防衛調達を優先するという要請に対して、同社の立場を強化すると強調した。
株価動向:LMTの株価は、最終調査時点の金曜日に0.85%上昇し、472.59ドルで取引を終えている。
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