NHSイングランドが、多発性硬化症(MS)患者について、バイオジェン社(NASDAQ:BIIB)のタイサブリ(ナタリズマブ)からバイオシミラードラッグのティルコへの切り替えを図る取り組みにより、重大な副作用が生じた。
ロンドンのチャリング・クロス病院では、約170人の多発性硬化症患者が、リバプロセス、運動障害、疲労、痛み、体重増加などの合併症を経験した。中には入院が必要な重症の患者もいたという。
英ガーディアン紙の報告によると、英国の公的医療機関であるNHSイングランドは、4月以降ティルコのようなバイオシミラー製品を順次導入しており、特許を持つ医薬品の代替品を利用することで、コストを削減することを目指している。バイオシミラー製品は、元々の薬と同等の効果と安全性を持ちながらも、かなり安価な価格で提供されており、ティルコの場合、タイサブリの平均72%安い(リンク)。
サンドズ・グループAG(OTC:SDZXF)(OTC:SDZNY)は、ノバルティスAG(NYSE:NVS)のジェネリック製品部門であり、ティルコの製造を行っている。英ガーディアン紙の報告によれば、この取り組みは、5年間で1,260百万ドル(100億ポンド)の医薬品費を削減するための戦略の一環である。
この問題の実態は不明だが、NHSイングランドは、問題がチャリング・クロス病院でのみ観察されたと発表している。しかし1人の患者は、他の15の病院でも同様の副作用が報告されたと主張している。
多発性硬化症患者を治療するNHS病院のうち、約半数が現在、ティルコへの移行に協力している。
懸念が高まっていることから、NHSイングランドは現在、保健福祉省および薬事医薬品規制庁と相談し、事態を評価し、可能な次の対策を検討している。
チャリング・クロス病院を監督するインペリアル・カレッジ・ヘルスケアNHSトラストは、当初、345人の患者にタイサブリを処方していたが、5月にティルコへの移行が始まると、信頼していた軽い短期間の副作用が発生したため、合併症の大変さと継続性には対応できなかった。約半数の患者は数か月にわたり症状が悪化したと報告しており、これに対し、全患者が再びタイサブリに切り替えられた。
株価動向:本日(月曜日)現時点でBIIB株は0.19%高の140.91ドルで取引を終えている。
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写真提供:ShutterstockのTada Images