香港時間の10月31日、米ビール大手バドワイザー・ブリューイング社(Budweiser Brewing Co. APAC Ltd.)の第3四半期ビジネスレビューが発表され、同社のビジネスが急落していることが明らかになった。その結果、同社の株価(OTC:BDWBF)は売り圧力を受けており、前日比23.08%安の2.20米ドルに低下している。
バドワイザーAPACは今年の上半期に収益性を高めるための大規模な新規投資を発表したが、最新のレビューによれば、中国市場の弱さが同社の業績を押し下げていることが明らかになった。同社は今年1-9月のビール販売量が前年同期比8.1%減の71.2億リットル、売上高が5.10億ドル(6.1%減)、利益が7.80億ドル(15%減)であると発表している。なお、この数字は前述の第3四半期ビジネスレビューに基づいている。
同社は中国の経済減速が総売上高を最も引きずり降ろしており、売上は一部を韓国での強いパフォーマンスでカバーしている。バドワイザーAPACは韓国、日本、中国、インド、東南アジア、ニュージーランドの各市場で事業を展開しており、中国が同社の90%近くを占める西APAC地域の売上げの大部分を占めている。
バドワイザーのビジネスは中国に引きずられ
バドワイザーAPACの中国ビジネスは2023年末以降、去年第4四半期に販売量が3.1%減少したことから減少を始め、今年第1四半期には減少率が6.2%、同期の売上も2.7%減少となった。 その後も状況は悪化し続け、今年第2四半期には販売量が前年同期比で10.3%、売上高が15.2%減少した。
そして最新レポートによると、第3四半期において同社の中国におけるビジネスは、売上が前年同期比16.1%減の780億ドル、利益が更に15%減の51億ドルに急落した。 会社の発表によれば、外食の機会が減少したことにより、特にビールの売上が急減したという。
同社の株価は売り圧力を受けているものの、中国のビール市場は1980年代と1990年代に西洋のブランドが市場に初めて参入して以来、絶えず進化し続けてきた。この初期の期間中、中国の経済は1978年に始まる改革開放の時代に飛躍しており、その結果としてビールの売り上げは急増した。 中国市場で数多くの醸造所が建設され、余剰所得を持つ消費者も多種多様な飲料に投資を始めた。そして中国は世界最大のビール市場となり、アメリカを抜いて1位となったのである。
中国ビール市場が転機を迎える
しかし、市場はその後飽和状態になり、多くの消費者が多様なビール以外の飲料に多様化していった。 人口動態統計についても考慮する必要があり、特に中国におけるビールの消費者は26-35歳の範囲に集中しており、総消費量の40%を占めている。しかし、この年齢層の人口割合は減少傾向にあり、そのためビールの販売台数に直接的な影響をもたらしているのである。
人口構成の変化以外にも、ライフスタイルの変化や生活水準の向上もビールの売り上げに影響を与えている。 特に健康的な食事が注目されるようになり、ビールのような健康に悪い飲み物を避けるようになったことが売上げに影響している。 また、ビールの売り上げに泡立つ代替品も増えてきており、その中には異なる成分やフレーバーを持つ他のアルコール飲料も含まれている。
これらの要因が複雑に絡み合い、2013年に中国におけるビール生産が転機を迎えることとなった。 2013年以前はビール生産が着実に上昇し続けており、同年には5000万キロリッターに達した。 しかしその後、中国のビール生産量は減少し続けており、2024年時点で3500万キロリッターにまで低下している。
消費者の価値観のシフトにより成長戦略が機能しなくなる
中国の大手ビールメーカーはそのような市場の変化にただじっとしているわけではなく、消費者が戻ってくるようにするため、アップスケールを図ることは一般的な戦術の一つである。 リー・チー・コン氏(Lee Chee Kong)は以前、中国のカールスバーグの社長として、こうしたアップスケールの動きが、過去30年間の西洋の高級ビールとの関連性について、より広い業界全体でトレンドになっていると指摘した。
理論的には素晴らしい話のように思えるかもしれないが、それを実行できるかどうかは別の話だ。 特に現在の市場では、中国経済が鈍行化しているため、特にビールのような非必需品に関しては、消費者の生活における贅沢な消費は抑制されている。
1990年代から2000年代初頭にかけての大規模な再編の後、中国のビール市場は現在、大手5社(中国リソースビール(China Resources Beer)(0291.HK)、青島啤酒(Tsingtao Brewery)(168.HK)、バドワイザー、燕京(Yanjing)、カールスバーグ)によって支配されている。この5社は市場の92%を占めており、バドワイザーはそのうちの3番手で、市場の約20%を占めている。
このような厳しい市況の中、バドワイザーを含む他のビール大手各社には、縮小する市場で互いのシェアを奪う以外の選択肢がほとんど残されていない。 これにもかかわらず、バドワイザーは、フィリップス証券(Philip Securities)のP/E(株価収益率)のトレーリング値で、17倍の中国リソースビールと14倍の青島啤酒を上回る19倍を計上しており、多くの公開企業の中で首位を誇っている。
投資銀行もバドワイザーAPACについて懸念を表明している。 モルガン・スタンレーは、バドワイザーAPACの中国における売上が予想より弱いとして、最新の情報を受けてフルイヤーセールスの予測を2%引き下げたと指摘している。 ゴールドマン・サックスも同様に2024年から2026年までのバドワイザーAPACの売上予測を1%から3%引き下げたが、その結果としてこの期間の株価予想を8.2%下方に修正し、H.K.ドル10.10にした。 UBSも同社について「バイ」のレーティングを維持しているが、ゴールドマン・サックスと同様に、株価予想をH.K.ドル13.78からH.K.ドル11.72に引き下げている。
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