米食品医薬品局(FDA)は、モノクローナル抗体療法やその他の医薬品の評価方法において、従来の動物実験からの転換を強調する大きな方針変更を発表した。
この機関は、安全性評価の向上、研究コストの削減、および医薬品開発のスピードアップを図るため、動物のかわりに人間に関連し、最先端の試験方法を採用することを目指している。
FDAの新しいアプローチは、新しい手法を積極的に取り入れるよう薬物開発者に勧めるもので、これにはAIによるシミュレーションや、実験室で行う人間モデルを含む、新しい手法が取り入れられている。
このような代替手法の採用は、人間の反応や毒性について、動物実験だけでは把握が難しいより正確な予測を提供するものと見込まれている。
このロードマップで提唱されている戦略の1つとしては、先進的なコンピューターモデリングの使用が挙げられる。
AIに基づくシミュレーションは、モノクローナル抗体が人間の体内でどのように動き、また薬物の構造に基づいた潜在的な副作用を予測することができる。FDAは、これにより動物実験を活用することができる前臨床試験における動物の依存度を大幅に減らせると考えている。
また、この機関は、培養した人間の臓器様集団(オルガノイド)やオルガノン・ア・チップ技術の使用も支持している。
これらのシステムは、肝臓や心臓などの人間の臓器の機能を模倣し、薬物が人間の体内でどのように振る舞うかというより正確な情報を提供する。
このような人間ベースのモデルは、動物実験では表面化しないかもしれない副作用を検出する可能性を秘めている。
これらの手法の採用を促進するために、FDAは規制ガイドラインを更新し、NAMsデータを支持する申請に対して簡単化されたレビューを提供する予定だ。
このことが、モノクローナル抗体療法の市場への投入にかかる開発スケジュールの短縮とコストの軽減につながる可能性がある。
この機関は、特に既に海外で人間を対象とする実験においてテストされた医薬品について、同等の規制基準が設けられている国の実際の安全データを活用し始める予定だ。
これにより、厳格な安全基準を維持しつつ、冗長な動物実験を減らしていくという方針の新たな一歩となる。
FDAは、国立衛生研究所(NIH)や退役軍人省などの連邦機関との協力のもと、これらの代替方法を検証し、拡大していくことを目指している。
今年の後半には、このロードマップの展開に関する利害関係者からのフィードバックを受けるためのワークショップが開催される予定だ。
FDAは、モノクローナル抗体の開発に関して、選択された開発者に対して、動物実験以外の主に非動物実験を許容するプログラムを1年間のパイロットプログラムとして開始する予定である。
William Blairは、これらの変更が時間をかけて段階的に導入されるにしても、薬物開発者は依然として少なくとも動物実験を行いたいと望むだろうと指摘している。これは、Charles River Laboratories International, Inc(NYSE: CRL)にとって大きなリスク要因になるかもしれない。同社は、売上の約20%を霊長類に対する薬物試験で稼いでいる。木曜日に同社株は20%以上暴落した。
アナリストのMax Smock氏によれば、この動きは、動物実験に代わりまたは動物実験と併用できる前臨床モデルを持っている、Certara Inc.(NASDAQ:CERT)およびSimulations Plus, Inc(NASDAQ:SLP)にとって、潜在的に好ましいものとなるかもしれないという。
CRL、CERT、SLPの株価動向: 本日の時点で、Charles River Laboratoriesの株は1.84ドル安の96.68ドル、Certaraの株は13.5%高の11.96ドル、そしてSimulations Plusの株は22.80%高の31.61ドルを記録している。
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写真: Shutterstock