恐れは人々を多くのことに駆り立てることができるが、その中にはゴールド価格を史上最高値に押し上げるという出来事も含まれる。政治的・経済的不安が高まる状況下で、個人の投資家も機関投資家も、この貴金属に安心感と自信を見出したのである。とはいえ、どの市場も潮とともに動くもので、逆強気の考え方をする人々にはチャンスがある。
とはいえ、物事には表裏があり、ゴールドの物語は現時点で明らかに強気である。最近では、黄色の金の現物価格は1オンス当たり3,200ドルを超える急上昇を見せており、移動は貿易摩擦が原因であるとされている。米国のトランプ大統領は、新たな大規模な関税を90日間一時停止すると発表したが、その一方で中国製品に対しては既存の20%関税に加えて125%の関税を維持している。
中国は世界第2の経済大国であることから、現在進行中の貿易戦争においては、その行方についてはまだまだ不透明なところが多い。その混乱の中で金価格が上昇し続けていることを考えると、投資家の需要が低下する兆しが見られないといえる。実際、世界金協議会によると、3月だけで物理的にバックアップされた金のETFの流入は86億ドルを記録した。このような強い需要の状況下で、金属と鉱山株が急騰したのである。
とはいえ、貴金属の爆発的な可能性について、懐疑的な見方をする人たちもいる。以前、貴金属について最もシビアな批判の1つを行ったのは、金融投資の神様といわれるウォーレン・バフェット氏であった。バフェット氏によれば、株や債券は利益を生む、利息を生む、配当を払うといった機能があるが、貴金属にはそのような実用性がほとんどないのだという。
“金は何も生み出さない… 何もしないであなたを見ているだけだ”とバフェット氏は言っていた。
さらに、金は希少であるにもかかわらず、絶滅の危機にはないとも言える。なぜなら、供給には限界があるものの、世界の金の供給量は常に増加しているという事実があるからだ。Statistaによると、金の売買が可能な金の量は年間3,000トン以上増加している。
このような考え方をする人たちは、長期にわたって金を考慮した場合、金は最も利益を生む資産とは言えないだろう。1990年1月から2020年末までの期間において、金の価格が372%以上上昇した一方で、S&P 500のリターンは1700%を超えるものとなった。つまり、特定の懐疑的な条件の下では貴金属が最も良く動くことがあり、それ以外の条件下ではパフォーマンスが良くないことがあるという。
Direxion ETF こうした対照的な考え方は、鉱山株にフォーカスを当てたETFにとっては魅力的な枠組みを提供している。具体的には、今後も買いトレンドが続くと見込む楽観的なトレーダーは、Direxion Daily Gold Miners Index Bull 2X Shares(NYSE:NUGT)を考えるべきだろう。一方、逆強気の考え方をする人は、Direxion Daily Gold Miners Index Bear 2X Shares(NYSE:DUST)を好むだろう。
NUGTとDUSTはどちらも、NYSE Arca Gold Miners Indexの2倍(またはその逆の2倍)のパフォーマンスを1日ごとに繰り返すことを目的としたETFである。これら2つのETFはいずれも2倍レバレッジ型ETFであり、投資家がスペキュレーションを倍化することができるようになっている。
これらの金融商品は主に利便性を提供するものである。レバレッジ型ETFと逆指数型ETFは、普通の投資家にもオプション取引の複雑さや(潜在的に無制限の)リスクを避けつつ、レバレッジを掛けたりショート売りを行ったりすることができる。これらのETFは、他のどの証券と同じように売買することができる。
とはいえ、NUGTとDUSTにはそれぞれのリスクがある。まず第一に、金鉱株価格は非常にボラティリティが高い。これまでのところ、基礎となる資産(金)のパフォーマンスが良かったとしても、同じように鉱山株のパフォーマンスも良かったとは限らない。次に、レバレッジ型ETFや逆指数型ETFは、1日を超える期間の利用を前提としていない。もし1日以上長い期間保有した場合、ETFのリターンは基準となる指数のリターンとは異なってくる可能性がある。
NUGT ETF
- パフォーマンスを疑う余地がないのが、NUGT ETFは確かに良いパフォーマンスを発揮しており、年初来の時点でほぼ市場価値の102%を獲得している。
- ユニットごとの価格は70.91ドルに急騰し、20日のEMAを大きく上回っており、極端な短期勢いを示している。
- 1月下旬以降確立された上昇傾向の中で、投資家は短期的な下げを見越しておくべきだ。

DUST ETF 一方、DUST ETFは勢いを失っており、年初来の時点でほぼ市場価値の58%を失っている。
- ユニットごとの価格は29.06ドルに低下し、20日のEMAと、指標となる50日移動平均線と200日移動平均線も割り込んでいる。
- 1月以降確立された下降傾向の中で、DUST ETFが一時的に上昇する可能性がある。
- それにもかかわらず、流通量は依然として強く、金鉱株に対するショート売りの恐れは依然として大きい。
