大統領提案の自動車関税、米国の自動車メーカーに輸入車購入の鎖を打つ
トランプ大統領が火曜日、自動車業界に対するセクター別の関税は「25%程度」に達する可能性があり、これが時間と共に増加する可能性があると警告したと、ウォールストリートジャーナルが報じた。大統領は、米国での生産に企業が移行することを可能にする猶予期間を提案している。
「事態は刻一刻と変化しているが、私たちの立場は柔軟性を持ち、状況に対して俊敏に対応することだ」と、ホンダ(NYSE:HMC)の青山伸二執行副社長は語った。
米国市場に対する依存度が高い、トヨタ(NYSE:TM)、ホンダ、日産など日系メーカーにとっては、大きなリスクを伴う事態となっている。この3社は米国市場がグローバル売上高の25%(トヨタ)から40%(ホンダ)を占め、日産も大きな割合で米国市場へのビジネスを依存している。
また、米国市場で急成長を遂げた現代自動車とキアも、日系メーカーと同様、輸入によるリスクを抱えている。
ドイツの自動車メーカーにとっては、米国市場は欧州の規制上の問題や、競争力を増している中国市場において、ビジネスチャンスを意味している。とりわけ、プレミアムブランドは大きな脅威に晒されている。昨年、フェラーリ(NYSE:RACE)とポルシェは自社の総販売台数の約25%をアメリカ市場で売り上げており、そのすべてがヨーロッパから輸入されたものだった。
メルセデス・ベンツとBMWはそれぞれアラバマ州とサウスカロライナ州に生産拠点を持っているが、その生産戦略は複雑だ。米国製SUVはグローバルに輸出される一方で、両社は続けてヨーロッパで生産されたセダンを輸入している。
「まず、(自動車業界における関税が)どの程度になるかによります」と、ボルボ・カーズのジム・ローワン最高経営責任者はジャーナルに語った。同氏は、ボルボはサウスカロライナ工場での生産を拡大する能力を持っているとしつつも、米国での生産費用との比較を行う必要があると話した。
トランプ大統領は、これまでにも欧州連合(EU)が米国に比べ、自動車の輸入品にかける関税率が10%であることを指摘した。米国がこれに対して2.5%の関税を徴収しているため、トランプ大統領は「対等性の欠如」と表現した。
欧州諸国では、自動車の販売に対して20%以上の税率で付加価値税が適用されるため、トランプ大統領はこれについても欧州に対して非難を浴びせた。
一方で、米国内における自動車産業の供給基盤は、主要部品の移動に国境を越える動きに依存している。トランプ政権は、この関税の導入を3月まで一時停止し、また同時期に米国内での対抗関税の実施に向けた報告を国際機関に提出するよう求めている。
米国の「ビッグスリー」自動車メーカーであるGM(NYSE:GM)、フォード(NYSE:F)およびステランティス(NYSE:STLA)も、米国の自動車関税の導入に向けて最大限のロビー活動を行っている。
一方で、メキシコおよびカナダに対する関税については、3月までの一時停止が継続される見通しであり、米国の連邦機関は4月初旬に対抗関税の実施に向けた報告を提出する予定だという。