米国株式の先物は月曜日に金曜日の混合の動きを受けて下落した。主要ベンチマーク指数の先物は軒並み下落した。
注目は金曜日の連邦準備制度理事会(FRB)議長パウエルのジャクソンホール経済政策シンポジウムでのスピーチになるだろう。
8月21日から23日にかけて開催される2025年のシンポジウムのテーマは「労働市場の移行:人口動態、生産性、マクロ経済政策」である。
一方、投資家は今週、ウォルマート(NYSE:WMT)、ターゲット(NYSE:TGT)、ロウズ・カンパニーズ(NYSE:LOW)、ホーム・デポ(NYSE:HD)など、米国の大手小売企業の決算にも注目するだろう。
FactSetによると、今四半期の決算発表をすでに行ったS&P500銘柄の92%のうち、82%がウォールストリートの予想を上回った。
米国債の10年物は4.29%、2年物は3.74%だった。CMEグループのFedWatchツールの予測によると、市場は連邦準備制度が9月17日の決定で現在の金利を引き下げる可能性を84.8%と見積もっている。
先物 | 変化 (+/-) |
ダウ | -0.06% |
S&P 500 | -0.12% |
ナスダック100 | -0.13% |
ラッセル2000 | 0.13% |
S&P500指数とナスダック100指数をそれぞれ追跡しているSPDR S&P 500 ETF Trust(NYSE:SPY)とInvesco QQQ Trust ETF(NASDAQ:QQQ)は前日の市場で下落した。SPYは0.13%安の642.61ドル、QQQは0.16%安の576.41ドルだった。
前回のセッションの手がかり
金曜日に最も大きな損失を記録したセクターは金融、工業、情報技術であるのに対し、不動産と医療サービスは全体的な市場傾向に逆らった。
その結果、米国株はまちまちな動きを見せた。S&P500は、トランプ大統領とプーチン大統領の会談を前に投資家が慎重な姿勢を採ったことや、消費者信頼感の低下とインフレ懸念の高まりを示すデータを受けて下落した。しかし、広範な市場指数は先週もなんとか上昇を記録した。
週間では、ダウは1.74%上昇し、S&P500とナスダックはそれぞれ0.94%、0.81%上昇し、堅調な週間パフォーマンスを示した。
ユナイテッドヘルス・グループ(NYSE:UNH)の株価は、ウォーレン・バフェットのバークシャー・ハサウェイ(NYSE:BRK)が同社株の取得を発表した後、12%もの急騰を記録した。これまでユナイテッドヘルスの株価は年初来40%以上も下落していた。
インテル(NASDAQ:INTC)は、米国政府が国内のチップ製造を強化するため同社への出資を検討していると報じられたことを受けて3%上昇した。
経済データの面では、7月の小売売上高は前月比で0.5%上昇し、予想通りの結果となった。しかし、8月の最新のミシガン大学消費者信頼感速報で消費者の弱さが浮き彫りとなった。ミシガン大学の8月の予備調査によると、消費者信頼感は61.7から58.6に低下し、予想の62を下回った。
ダウ工業株30種平均は35ポイント(0.078%)高の44,946.12で終了したのに対し、S&P500指数は0.29%安の6,449.80だった。ナスダック総合指数は0.40%安の21,622.98、ラッセル2000指数は0.55%安の2,286.52で取引を終えた。
インデックス | パフォーマンス (+/-) | 値 |
ナスダック総合 | -0.40% | 21,622.98 |
S&P 500 | -0.29% | 6,449.80 |
ダウ | 0.078% | 44,946.12 |
ラッセル2000 | -0.55% | 2,286.52 |
アナリストからの洞察
FundStratのトム・リーは、ジャクソンホール経済シンポジウムでのFRB議長パウエルの今後のスピーチにおいて利下げについての「和解的な調子」があることを期待している。
前財務長官のローレンス・サマーズは、金利の方向性をあまりにも直接的に考慮したことに対して、現財務長官のスコット・ベッセントを批判した。サマーズは財政政策と金融政策の線引きがあいまいになると考えている。
ビル・クリントン政権下で財務長官を務めたサマーズは、ベッセントが金利で「あまりにも処方的である」ことを見て驚いたと述べている。行政当局者がこのような判断に関与することは通常ないからだ。また、同氏は「金融政策について公開処方することは行政にとって有益であるとは思えない」と付け加えた。
サマーズはまた、「大幅に高まった財政赤字支出」「データセンター支出の急増」「米国の貿易赤字の縮小」「貯蓄の流れを制限する資産価格の上昇」など、資本需要の増加を促していると考えられる複数の要因を指摘している。
それらの要因を総合すると、これらの動態は「中立金利がかなり上昇した」ことを示唆しているとサマーズは述べており、そのような状況下でベッセントの急激な利下げの立場は見当違いであった。
同氏は、もしそうなった場合には景気後退が見られなければ利率を175ベーシス・ポイント引き下げるべきではないと付け加えている。
一方、エコノミストのピーター・シフは、大統領の関税は米国控訴裁判所で敗北する可能性が高いと述べており、これは来たるべき景気後退に向けた「別のスケープゴート」を作り出すことになる。
日曜日にXに投稿した記事の中で、シフは「米国控訴裁判所はおそらくトランプ大統領の関税を違憲として取り消すだろう。これはトランプの貿易政策の中心部分の終わりを意味し、また米国の輸入業者がすでに関税として支払った多額の金額の回収への扉を開くことにもなる」と述べた。
「つまり、米国の輸入業者は支払った金額の払い戻しを受けることができるということだ」とシフは言う。最近、米国政府が関税として徴収した数十億ドルを指している。
シフはこれが本質的に、FRB議長パウエルとバイデン前大統領と並んで、景気後退のスケープゴートを作り出すことになるトランプ大統領の言い訳になると考えている。パウエル議長は十分な利下げを行っていないとして、トランプ大統領はパウエル議長を繰り返し攻撃している。
こちらも参照:
今後の経済データ
今週の投資家の注目点は以下の通り。
- 8月19日(月)10:00(米国時間)までに8月の住宅建設業者信頼感指数のデータが発表される。
- 8月20日(火)8:30(米国時間)までに7月の住宅着工件数と建築許可件数のデータが発表される。
- 8月21日(水)14:00(米国時間)に連邦準備制度理事会(FRB)の7月のFOMC議事録が発表される。
- 8月22日(木)8:30(米国時間)に8月16日までの週の新規失業保険申請件数と8月のフィラデルフィア連銀製造業景況指数が発表される。
- 8月22日(木)9:45(米国時間)に8月のS&P速報米国サービス部門PMIとS&P速報米国製造業部門PMIが発表される。
- 7月の中古住宅販売件数と米国の先行経済指標も8月22日(木)10:00(米国時間)までに発表される。
- ワイオミング州で3日間のジャクソンホール年次シンポジウムが8月21日(木)に始まる。
- 8月23日(金)、ジャクソンホールでパウエル議長が講演。
注目株
- パロアルト・ネットワークス(NASDAQ:PANW)は、決算発表が期待される中、プレマーケットで0.50%上昇した。アナリストは、売上25億ドルに対し、1株あたり89セントの利益を見込んでいる。
- XP(NASDAQ:XP)は、引け後に決算発表が期待される中、0.85%上昇した。アナリストは、売上8億3,473万ドルに対し、1株あたり39セントの利益を見込んでいる。
- アラリティ・セラピューティクス(NASDAQ:ALLR)は、2Qの利益が市場予想を上回ったため、3.32%上昇した。同社の1株あたり15セントの四半期損失は、市場予想の1株あ