鉱山の建設は、一般的に困難な事業である。鉱山の開発は長期にわたるものであり、見込み調査、土壌サンプリング、環境調査、生産開始前に行われる資本支出などが含まれる。関係する企業にとっては、スタッフが一生をかけることもあるほどの、複雑なプロセスを経て可能となるものである。
だから、生産中のまま大規模な埋蔵資源を有する鉱山が閉山すると、その影響は双方面に及ぶ。鉱山の所有者企業は収益を失う一方で、産業全体としては有用な鉱山の供給を失うことになり、結果的に鉱石価格が上昇することもある。このため、関連製品のコストが高騰することもある。
1オンスあたり3000ドルという金価格の歴史的なマイルストーンに向けて上昇している中、こうした状況が話題となっているのが、Barrick Gold(NYSE:GOLD)の一大金鉱山であるLolo-Gounkoto鉱山群が、現地での政府との紛争を理由に閉山をしたことである。
最新の軍政との話し合いは決裂し、軍政側は1億9700万ドルの支払いを求めているが、Barrick Goldは段階的な支払いを求めていた。この鉱山は2023年に約70万オンスを生産し、Barrick Goldの生産全体の15%を占めている。
一方、最終的には、Cobre Panama鉱山のための法的手続きは2026年まで先延ばしになった。同鉱山の運営者であるFirst Quantum(OTCPK:FQVLF)が新たに発表し[た](https://s24.q4cdn.com/821689673/files/doc_financials/2024/q4/Q4-2024-FQM-News-Release-FINAL.pdf)た内容を説明すると、この決定がパナマ政府による法的諮問を代行する法律事務所の交代の後になされたものだという。
この鉱山は、2022年に35万トンを生産し、その生産量はパナマのGDP全体の5%を占めている。なお、2023年11月には、この鉱山はパナマの最高裁判所がその契約を違憲とする判決を下したことによって閉山を余儀なくされている。
同社はまた、低コストで中国の資本によるニッケル生産の台頭により、同国のRavensthorpeニッケル鉱山を閉鎖せざるを得なくなったオーストラリアでも損害を被っている。その結果、2023年初めのトンあたり3万ドルを超える価格から2023年半ばには1.5万ドルあたりにまで下落した。
この価格の崩壊により、多くのオーストラリアのニッケル鉱山が採算度外視となり、結果として大規模な職場削減や閉山が続出している。
アナリストの見解