中国の電気自動車メーカー、比亜迪股份有限公司(BYD Co)(OTC:BYDDY)のブラジル工場で働く労働者は、疑問視される労働条件にもかかわらず、中国の多くの地域で最低賃金のおよそ2倍の賃金を得ているとされている。
出来事の内実BYDのブラジルの工場に雇用された中国人労働者は、10時間のシフトにつきおおよそ70ドルの賃金を得ているとロイターが報じた。
MSNは、しかし、労働者が新しい雇用主にパスポートを渡し、収入のほとんどを中国に直接送金すること、また6か月勤務後にのみ受け取ることのできる900ドルのデポジットを支払わなければならないと報告している。また、ブラジルの当局が12月に救出したいくつかの労働者による契約書を引用して、労働者たちは900ドルのデポジットを支払う必要があったとも報告した。
ブラジルの当局は、12月に、BYDがサルバドールに建設した工場の建設を停止し、同地に住み込みで働いていた労働者たちが「奴隷と同じような状態」であることを発見したと発表した。
ブラジルの労働省検察庁(MPT)の声明によると、現地当局は労働者163人を救出したうえ、バイア州の工場建設を差し止めた。MPTは、労働環境が「強制労働」を構成していたとも指摘した。同声明によると、労働者が6か月後に雇用契約を解除した場合、その労働者は日本行きの往復航空券などの経費を会社が差し引くため、労働者は労働に対する報酬が一切ないまま国を去らなくてはならなくなる。
この契約の一部の条項は、ロイターが専門家や当局の発表を引用し、ブラジルと中国の労働法を違反していると報告している。ロイターは、その契約の一部の条項は、6か月間だけ労働契約を単独で延長する権限を同社に与えているとも報じている。
なぜ重要なのかブラジルのJinjiang Groupは、同社の労働者がブラジルにおける中国の電気自動車大手の工場で「奴隷労働」を強いられているというブラジル政府の描写は「事実と完全に一致しない」としている。
ブラジルの検査官らは、EVメーカー側が建設現場の違反行為を知っていたかどうかを示す証拠を提出していない。しかし、ブラジルの奴隷労働撲滅検査部門の当局代表マテウス・ヴィアナ氏がロイターに述べたところによると、BYDは「当該現場での自社の下請業者の行動に対して直接責任を負っている」。
BYDは、ブラジルの工場での生産を2025年に開始する予定だ。同社は中国最大のEVメーカーであり、プラグインハイブリッド車および電池電動車を製造しており、この製品は中国、欧州、およびブラジルで販売されている。 さらにBYDは2024年第4四半期、世界最大の電池電動車販売会社として、米国の電気自動車大手であるテスラ社をも抑えることに成功した。
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