保健社会福祉省(HHS)長官に指名されたロバート・F・ケネディ・Jr氏は、国際的にも公衆衛生政策に反対する活動を行ってきた経歴がある。
ワクチンに対する疑念や陰謀論を率直に語ることで知られるケネディ氏は、米国外での影響力を拡大し、特にワクチン接種やエイズ予防などの分野で世界的な健康イニシアチブを妨害してきたと、The New York Timesが伝えている。
ケネディ氏の非営利団体であるChildren’s Health Defenseは、ワクチンについての誤情報を広め、ワクチンに対する懐疑的な考え方を推進する海外支部のネットワークを確立している。ウガンダや南アフリカなどの国々では、ケネディ氏の団体がエイズのアフリカにおける広がりに対抗するために実施された性教育キャンペーンなど公共衛生の取り組みに介入してきた。
ケネディ氏とその関係者は世界保健機関(WHO)にも注目し、そのプログラムの有効性を疑い、世界的な健康イニシアチブについての陰謀論を煽ったとThe New York Timesは付け加えている。
トランプ政権でHHS長官に就任したケネディ氏は、ワクチンに対する疑念や陰謀論を率直に語ることで知られている(出典: RFK Jr.)
彼の最も注目すべき国際的な介入の一つは、2019年に行ったサモアでの出来事だ。ケネディ氏がサモアを訪れた後、2019年にその地で悲劇的な麻疹の流行が起こったのだ。麻疹の定期接種時に2人の乳児が死亡するという公衆衛生上の悲劇の後、ケネディ氏はワクチンの安全性に疑念を示す声を強めた。
ケネディ氏と現地のワクチン反対運動家たちの訪問は、ワクチン接種率の大幅な低下をもたらした。麻疹の流行にもかかわらず、ケネディ氏はワクチンの薬効に関する虚偽の主張を広め続け、結果83人が亡くなるという大惨事を招いた。亡くなったほとんどは子供だったとThe New York Timesは報告している。
また、ケネディ氏は、新型コロナウイルスの対策に反対するワクチンに対する懐疑的な立場を促進する会議を主催するなど、ヨーロッパで重要な役割を果たしてきた。2022年には、Children’s Health Defense Europeはベルリンで反パンデミックのデモを主催し、1万人の参加者が集まった。
特に彼の団体が、ワクチンとビル・ゲイツ氏や世界的な製薬会社を巡る陰謀に関する理論を広め続けていることは、警告を促してきた。
ケネディ氏の団体の活動は、南アフリカなどの国々におけるワクチンへの信頼に具体的な影響を与えており、彼のネットワークが広めた誤情報がワクチンへの信頼を30%も減少させる結果となった。
ケネディ氏がHHSのトップに就任するに当たっては、彼の未検証の治療法の推進や確立済みの公共衛生政策に反対する歴史が、米国および世界の健康政策への彼の潜在的な影響に関する深刻な懸念を引き起こしている。
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