市場は不透明感に包まれている。景気後退の兆候が見られる中、市場は乱高下し、関税政策には一貫性がない状況が続いている。セントルイス連邦準備銀行の『米国経済政策の不透明指数（US Economic Policy Uncertainty Index）』が、2020年12月以来の最高水準に急上昇した。消費者信頼感指数（University of Michigan Survey of Consumers）は1月から2月にかけて約10%下落し、1年前から17%減少している。
企業経営者は依然として関税の不透明感を認識しており、調査でもその声が上がっている。アメリカ中小企業連盟（National Federation of Independent Business、NFIB）の2月の『小規模企業の楽観指数（Small Business Optimism Index）』は低下し、一方で同じくNFIBの『不透明指数（Uncertainty Index）』は過去2番目に高い水準まで上昇した。2025年のインフレ予想が高まっていることも問題を複雑化させており、FRBは、成長を促進するために金利を下げるか、高い物価を抑制するために金利を据え置くかという板挟みの状況に追い込まれている。
この不安定な状況で米国株が世界市場に後れを取っており、投資家の不安要因の一つである。景気後退がまさに目の前に迫っているというには時期早々だが、防御的な投資戦略を考えるには絶好のタイミングと言えるだろう。
以下は、景気後退時に業績が好調な5つの銘柄である。
リパブリック・サービス(Republic Services）
投資家が廃棄物処理サービスを考えると、たいていはそのままの社名のウェイスト・マネジメント(Waste Management Inc.) （NYSE:WM）を思い浮かべることが多い。しかし、リパブリック・サービス（NYSE:RSG）も200以上の埋立地と246の中継地があり、商業、住宅、産業の廃棄物処理サービスをしている。大手のWMと比べても、RSGの株価収益率(P/E)は高く、1株あたりのフリーキャッシュフロー（P/FCF）も大幅に優れている（35.05対41.89）。この12ヶ月間、WMの株が8.7%上昇したに対し、RSGの株は27%以上の上昇である。
3月初めの1週間、RSGの株は下がったが、相対力指数（RSI）は最近上昇に転じ、次の上昇局面に向けての準備が整いつつあることを示している。株式は、2つのBenzinga Edgeの指標でも高い。モメンタムについては86.20、クォリティについては88.57である。3月4日、CIBCのアナリストは、同社の株を「中立」から「アウトパフォーム」に格上げし、目標株価を265ドルにした。UBS、ゴールドマン・サックス、スティーフェルも、過去1か月で同社の株について株価予測を引き上げている。
オリーズ・バーゲン・アウトレット・ホールディングス(Ollie’s Bargain Outlet Holdings）
景気の減速期には、ドルストアとディスカウントショップが人気を集めることが多い。しかし、このような環境下での株式投資は、利益率が低く、輸入に大きく依存している株式については慎重な姿勢で臨む必要がある。オリーズ・バーゲン・アウトレット（NASDAQ:OLLI）は、製造業者や卸売業者から過剰在庫や過剰生産商品を購入し、その商品を倉庫で大幅な割引価格で販売している。
オリーズのビジネスモデルは、ドルツリーなどの従来なディスカウントストアよりも良い。同社の利益率は9%であり、この数字はドルツリーやドル・ジェネラル、さらにはウォルマートやターゲットなどの大手チェーンよりも上回っている。オリーズは前年同期比で利益をほぼ8%も伸ばしているが、その一方でこの3か月間で株価はほぼ10%下がっている。
しかし、上のチャートが示す通り、現在、買いのチャンスが生じている可能性がある。上昇トレンドは止まったように見えるが、買いの予想線が形成されており、これは新たな上昇局面の予兆と言えるだろう。株価のレンジが縮小し続ける中で、このパターンを見守っていくことが重要である。
キンバリー・クラーク(Kimberly-Clark）
ペーパータオル、トイレットペーパー、消耗品、洗剤など、日用品については需要の変動が非常に少ないため、これらの企業は不況や景気減速時には人気の投資対象となることが多い。キンバリー・クラーク（NYSE:KMB）は、業界の中でも魅力的な評価と配当、また複数年にわたる取引レンジからの多角的なブレイクアウトの可能性などから優れている企業である。
KMBの株はつい最近、2020年末以来の抵抗線を突破して5年ぶりの高値更新となった。この有望なテクニカルシグナルを裏付けるのは、同社が保有する強力なファンダメンタルデータである。KMBの株の株価収益率は19倍で競合他社であるプロクター・アンド・ギャンブルやコルゲート・パーモリブと比較してもはるかに低い。また、売上高収益率12.7%を維持しながら、わずか2.4倍での取引である。配当利回り3.5%、最近の急騰により、Benzinga Edgeのモメンタムスコアは71.54に上昇している。この点においては生活必需品のセクターでは珍しいことである。
ユーナム・グループ(Unum Group）
こちらは、ほとんどの投資家が耳にしたことがない保険会社であるが、欠点のないチャートである。ユーナムグループ（NYSE:UNM）は、アメリカ合衆国、イギリス、ポーランドの顧客に対して個別の所得保護プランを提供し、また、コロニアル・ライフ(Colonial Life)社やクローズド・ブロック(Closed Block）社などのセグメントを通じて、介護、生命保険、従業員給付プランを提供している。
2022年の弱気相場の中で、ユーナムの株は非常に良いパフォーマンスを見せ、多くの株が長期間にわたる下落の中で、同社はプラスの成果をあげた。2024年には、大幅上昇、この12か月間で60%以上の上昇である。ファンダメンタルデータの観点からも、同社は強い地位に立っており、1.27のP/B、8.3のP/E、13.9%の利益率である。ユーナムの株は、Benzinga Edgeの3つの重要な指標、モメンタム（94.60）、バリュー（89.28）、クオリティ（84.32）においても非常に高い。
バークシャー・ハサウェイ(Berkshire Hathaway)
ウォーレン・バフェット氏が資金を調達し始めると投資家たちは注目する。オマハの神様（Oracle of Omaha）は、バークシャーハサウェイ（NYSE:BRK）は資金を増やすために株式を売却しており、この94歳の保険会社のCEOの投資目標が多くの投資家たちとは異なるかもしれないが、バフェット氏が現金を集めていることには注目である。
バフェット氏の資金の保有高は、同氏の長期にわたる実績を考慮すると、驚くべきことではない。バフェット氏は個人投資家に対して「買い持ち戦略」を推奨しているが、常に市場のタイミングを計ることを好んできた。バフェット氏が新しい資本を稼働させる前に、現金保有高は、新たな資本を運用に回す前に、ボラティリティの低下待ちを示唆している。
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