新たな関税の波が押し寄せ、米国自動車業界を揺るがす事態となりつつある。カナダおよびメキシコからの自動車輸入に関税が再び課される場合、自動車価格は最大で3,000ドル上昇する可能性があると、ブルームバーグが報じた。
一方で、Tesla Inc.(NASDAQ:TSLA) をはじめとする電動車メーカーは、中国製グラファイトに新たな高率関税が課されることに対し抵抗し続けている(グラファイトは電池製造のための重要な材料だ)。
JPMorganのBill Peterson氏は、これらの貿易摩擦が業界全体でコストのインフレを引き起こし、EV(電気自動車)の普及を脅かす可能性について警告している。
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米国の自動車関税:問題の大きな火種
カナダおよびメキシコからの自動車輸入に関する関税の一時停止が間もなく切れるのに伴い、関税が再び課された場合、その影響は莫大なものになる可能性がある- 2,500億ドル相当の輸出入取引が混乱することになる。
この2か国が世界のエアバッグやシートベルトのほぼ80%を生産していることから、関税により、従来の自動車および電気自動車の生産コストが上がる可能性がある。
JPMorganは、EVが既に内燃機関車(ICE)よりも18-60%のメーカー希望小売価格(MSRP)プレミアムを持っていることを指摘しており、より高いコストがかかれば消費者にとっての価格設定がますます不利になる可能性がある、と述べている。なお、特にEVに関する7,500ドルの減税措置も消失した場合には。
グラファイト関税:EVシステムへの衝撃
一方で、テスラは、中国製グラファイトに関税が掛かることに対し、最大で920%もの関税が課されることに戦いを挑んでいる。
米国のグラファイト生産業者は、中国からの安価な供給が国内鉱業を圧迫していると主張しているが、JPMorganは、グラファイトはリチウムイオンEVバッテリーの材料として最も大容量を占めており、価格の上昇はEVメーカーに直接的な打撃を与え、マージンをより一層圧迫し、低価格化がさらに難しくなる可能性があると指摘している。
EVの方程式:コストの上昇、成長の減速?
供給チェーンのインフレ、関税のリスク、税額控除の不透明性といった問題がEVの成長にとって潜在的な風前の灯火となる理由だ。
消費者が車の購入を躊躇するほど価格が上昇し続けると、自動車メーカーだけでなく、ChargePoint Holdings Inc(NYSE:CHPT)や、EVgo Inc(NASDAQ:EVGO)などのEV充電会社にも影響を及ぼす。
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