DeepSeekの最新AIモデル、R1が話題を集めている──その性能ではなく、AIチップの需要に関して提起された根源的な問題がそうさせている。
同社は、自社のトレーニングコストはたった560万ドルで済んだと主張している。これは、AIの先進的な基盤モデルが要求しているコストのほんの一部に過ぎない。
当然ながら、投資家たちは疑問を抱いている。AIがこれほど効率的にトレーニングできるのなら、今後、産業全体のチップ購入ラッシュが落ち着く可能性があるのだろうか?
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ジェビンズの逆説が再び
JPMorganのHarlan Sur氏は慌ててはいない。むしろ、彼は歴史を指摘している──つまり、コンピューティングの効率向上は逆説的に、需要を減らすどころか増やす結果になるという点を。
2000年代のx86仮想化から、コンピューティングパワーでの一歩進んだ例としては、ARM Holdings PLC(NASDAQ:ARM)のモバイル市場での支配権まで、需要を減らすどころか増やしてきた。同じことがここでも起こり得る:DeepSeekの効率がAIチップの需要を抑制するのではなく、AIの採用を促進し、高性能半導体の必要性を押し上げる可能性があるというわけだ。
カスタムシリコンが勝者に
DeepSeekの低コスト効率は、単なる疑問を提起するだけでなく、新たな機会をも打ち開くことになる。Sur氏は、ハイパースケーラーとクラウドプロバイダーは引き続きより大きなAI機能を求め続けると信じているが、それらは市販のGPUに頼るだけではないだろう。コストと電力の性能が重要な差別化要因になることがあるため、Broadcom Inc(NASDAQ:AVGO)やMarvell Technology Inc(NASDAQ:MRVL)のような企業は、活況を呈していることがあるだろう。
DeepSeekの正確なコスト構造とオープンソースモデルへの依存については、未だ一部疑問が残るものの、一つはっきりしていることがある。AIイノベーションが決してスローダウンすることはない──それはむしろ、さらなる飛躍をもたらすものなのだ。
Sur氏は、AIの主導権争いはまだ終わっておらず、そうした点に関してBroadcom、Marvell、Nvidia Corp(NASDAQ:NVDA)に対する彼の上昇志向の姿勢を強調している。歴史が教えてくれることは、これは半導体需要の次の波の始まりに過ぎないということだ。
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写真:シャッターストック