今週、量子コンピューター関連株が騒然となったのはCES 2025の話題だけでなく、Nvidia CorpのCEOジェンセン・ファン氏からも冷や水が浴びせられたからだ。
ジェンセン・ファン氏はNvidiaのアナリスト・デーで語った言葉は明確だ。「実用的な」量子コンピューターが現実のものとなるのは、おそらく10年以上先のことだろうというものだ。実際、彼は、15年から20年での大きな打開を望む最も楽観的なタイムラインを提示し、30年かけて実現することがより現実的だろうとも述べた。CEOの発言によって量子コンピューティング関連銘柄は株価急落を見せ、技術の可能性についての憶測が現実にはならないのではとの懸念が高まっている。
量子コンピューティング業界の株価急落は、IonQ Inc(NYSE:IONQ)や、Rigetti Computing Inc(NASDAQ:RGTI)、D-Wave Quantum Inc。(NYSE:QBTS)などの同セクターの主要プレーヤーの株価に打撃を与え、わずか数日間で最大40%下落している。これらの銘柄は過去1年間で大幅な上昇を見せており、IonQの株価はなんと驚異的な129%上昇し、Rigettiもなんと828%急騰していた。しかし、CEOの発言は同業界の銘柄を急激な下落に導いた。
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株価とテクニカル指標を見てみよう。
IonQ
CEOのコメントを受けてIonQの株価は過去5日間で約30%下落しているが、銘柄は重要な移動平均線を下回ることはなく、まだ可能性を秘めている。
株価は8日単純移動平均(SMA)43.76ドルで推移し、反発の機会もあるかもしれない。株価は200日SMA(14.33ドル)も、堅調な買いのシグナルを示している。
ただし、テクニカル指標の読み取りは微妙で、売り圧が株価を圧迫しており、8日、20日、50日のSMAを下回っている。それゆえさらなるベアリッシュな動きも予想されるが、38.05の相対的な強度指数(RSI)は買われ過ぎ状態にあるとはいえない数字を示している。
Rigetti Computing
過去5日間で株価は35%下落しているが、Rigettiの株式は強いテクニカルを持っている。
8日SMAが16.98ドル、20日SMAが12.39ドルという数字は、株価が反発することを示している。相対的な強度指数(RSI)は46.58で中立的な立ち位置をとり、移動平均収束拡散(MACD)指標は3.22で買いサインを示している。
D-Wave Quantum
数日で40%も下落してしまったD-Wave Quantum。しかし、同社のテクニカル指標は強いままだ。
8日SMAは8.88ドル、20日SMAは7.61ドルという数値は強い買いサインを示しているが、最近のSMAを下回ることもあって、D-Waveはまだ売り圧の中にある。 42.88のRSIは、株価が買われ過ぎでも売られ過ぎでもないというバランスのとれた立場を示している。 最近の株価の下落にもかかわらず、MACDは1.23でポジティブで買い推奨の数値を示している。
ジェンセン・ファン氏のコメントによって、量子コンピューティング銘柄の成長が制約されているが、テクニカル分析からみると、それによってこれらの銘柄が今後購入の対象からは外れるとは限らない。特に、量子コンピューティング業界全体のセンチメントが変化したり、量子コンピューティングの進歩が予想以上に進むと、取引の可能性はいまだに残されている。
いまは様子見の時だ。量子コンピューティングのセクターは一時的なつまずきを経験しているかもしれないが、長期的な可能性が耐えていれば、このストームが静まった後にはこれらの銘柄に再び上昇する可能性がある。
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