ジョー・バイデン米大統領は先週金曜日、外国企業による合計149億ドル(約1兆7000億円)相当の米国製鋼会社(NYSE:X)の買収を阻止すると発表した。これにより、日本の日本製鉄(OTC:NPSCY)による買収が実現されなくなった。バイデン大統領は、外国の所有権が米国の国家安全保障を脅かし、米国にとって重要な供給チェーンを壊す可能性があるためだと説明した。
バイデン氏はホワイトハウスで発表した声明の中で、鋼鉄が国のインフラ、防衛、産業基盤を支える上での重要性を強調した。
米国の製造業の急増についても言及し、自身の政権中に新たに100以上の鉄鋼製鉄所が設立されたと述べた。
バイデン大統領は、中国からの鉄鋼輸入にかける関税を3倍に引き上げるなど、不公正な貿易慣行に対抗する取り組みも強調した。これらの措置は、バイデン大統領によれば、米国の雇用を保護し、国内生産者の競争力を回復することを目的としているという。
バイデン大統領は「米国製鋼は誇り高きアメリカ企業となります。アメリカの鉄鋼労連の鉄鋼労働者が所有し、運営し、世界一です」と述べた。
この決定により、米政治や経済の論議が集中した鉄鋼大手の運命は、一応、決着を見たことになる。
合衆国における外国投資委員会(CFIUS)の主要メンバーである司法省、財務省、国務省は合意を支持している一方で、米国貿易代表部(USTR)のキャサリン・タイ(Katherine Tai)代表は労働に関する懸念を示している。
承認を得るための最後の試みとして、日本製鉄は米国製鋼の設備における生産変更に対する直接的な拒否権を米政府に与えることを提案した。
米国製鋼の労組トップであるデイビッド・マッコール(David McCall)会長の率いる会社は、この買収に強く反対している。
もちろん、日本製鉄と米国製鋼は、合意が出来ない場合、即座に法的措置を取り、12月17日付けの書簡の中で、政治的配慮が審査プロセスに影響を与えたと主張している。
この合意が阻止された場合、日米関係に緊張が生じることが懸念されている。日本は米国にとって、重要な同盟国であり、また米国における主要な外国投資家であるためだ。これはCNBCが報じた。
株価の変動:米国時間の金曜日、当時Xの株は1株30.16ドルで、7.48%安で取引されていた。
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