先月、初めての民間宇宙遊泳を含む「ポラリス・ドーンミッション」を実施した宇宙ロケット製造会社スペースX(SpaceX)が、少なくとも1時間にわたり地上管制を失ったと報道された。
出来事の詳細: この地上管制の喪失は、関係者3人の話を引用して報じられたロイター通信によると、スペースXのカリフォルニアの施設で停電によって引き起こされたものだ。
停電中、スペースXのミッションコントロールはドラゴン宇宙船に対して命令を出すことができなかったが、同宇宙船は無事であり、同社のスターリンク衛星ネットワークの支援を受けて地上との間で一部の通信を維持していたとロイターの報道は綴った。
報道によると、ハースホーンにあるミッション本部を一時停止させた電力サージが発生し、停電が引き起こされた。また、同ミッション本部を一時的に停止させた他、停電は停電に対処するための手順をホスティングするサーバーにも影響を与え、さらにはフロリダにあるバックアップ施設にミッションコントロールを移すことができず、このような状況が起きてしまったのだという。
ただしロイターは、同社が連邦航空局(FAA)に停電のことを通知したかどうかを報じていない。一方で、同局の情報筋の一人によれば、同社はNASAには通知しており、今回の問題は解決済みであり、今後のミッションで問題となることはないとのことだと同情報筋は付け加えた。
現行の規制によれば、米国の法律によると、民間宇宙ミッションは規制されていない。したがって、2004年に米国議会で可決されたモラトリアムによって、民間運営者は軌道上でのミスを通報する必要はない、とロイターは指摘している。
ロイターはまた、停電が発生した正確な時刻とその継続時間についても特定できなかった。ただし、同局の情報筋2人の話によれば、これは計画された宇宙遊泳の直前に発生したもので、少なくとも1時間続いたという。ただし、ミッションの中で、宇宙飛行士が地上との連絡を失った場合、宇宙船の操縦方法については事前に訓練を受けていたため、この停電の影響は最小限であった、と報告書は書いている。
ポラリス・ドーンミッションの乗組員が宇宙へ打ち上げられる前に、イーロン・マスク(Elon Musk)は、Xというソーシャルメディアの投稿で「全てを三重チェックして」乗組員の安全に何もできないか再度確認すると述べていた。
なぜ重要なのか: 5日間にわたって行われたポラリス・ドーンミッションは、各種ミッションの初の一部として、億万長者であるShift4ペイメントCEOのジャレッド・アイザックマン(Jared Isaacman)を含む民間宇宙飛行士たちによって実施されたものだ。先月初旬、大統領選候補のドナルド・トランプ(Donald Trump)が、アイザックマンをNASA長官に指名した。指名は上院の承認を経て、正式にアイザックマン氏がNASA長官に就任する予定だ。
このミッションの一環として、9月12日にアイザックマンと同乗したサラ・ギリス(Sarah Gillis)は、スペースXのドラゴン宇宙船から別々に宇宙の真空状態に浮上し、435マイル(700キロメートル)の高度で初の民間宇宙遊泳を行った。
宇宙機関NASAは政府の宇宙飛行士とともに常に地球外活動を行っているが、宇宙飛行に成功した民間の組織や一般市民はいままでいなかった。このため、このミッションは、宇宙飛行士の宇宙遊泳を初めて成功させたものであり、これがスペースXや民間宇宙飛行会社にとっての画期的な実績となった。
11月、トランプ氏は政府の効率を向上させ、過剰な規制を撤廃し、無駄な予算を削減し、連邦機関を再編成する目的で、マスク氏を政府の効率改革委員会の共同議長に任命した。
マスク氏は新しい役職を受けて、民間の宇宙探査部門における規制をさらに大幅に削減することが予想される。なぜなら、先日FAAを非難したことがあり、トランプ氏に対しては、FAA本部の指導者が辞職するよう求めたこともあるからだ。
今年9月、マスク氏は、火星への人間の送り出しを目指し、FAAで根本的な改革が必要だと唱え、新たな規則が必要だと述べている。 「根本的な問題は、FAAで根本的な改革がなければ、人類は地球に永遠に閉じ込められたままでしょう!」という、マスク氏のXの投稿にあるコメントの一部をご紹介する。
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<em>写真提供:NASA/SpaceX</em>