原油価格の急騰と、新政権下での規制緩和への投資家たちの賭けにより、米国のエネルギー部門は2025年を力強くスタートした。
出来事1月上旬に入ると、エネルギー選定部門SPDRファンド(NYSE:XLE)が8%以上急伸し、他のどの部門よりも先行している。次点では、同期間でわずか3.7%上昇した産業部門が続いている。
原油価格の上昇がこの急騰をけん引しており、今週には原油価格がバレル当たり80ドルを超えた。一方で、ロシアに対する新たな米国制裁と、国内在庫の予想を上回る減少が供給面で懸念を引き起こしている。
バイデン政権が1月10日に実施した最新の制裁は、ロシアの石油生産者であるガズプロム・ネフチ(Gazprom Neft)およびスルグトネフテガス(Surgutneftegaz)に対するものであり、また160隻以上のタンカーに対しても制裁が拡大され、モスクワのエネルギー収入に対する規制が強化された。この動きは既存の供給制約をさらに増幅させるもので、一部のアナリストも今後も増加する圧力を予測している。
ロシアからの原油流出がさらに制約され、イランとベネズエラに対する制裁が強化されれば、原油価格はバレル当たり90ドルに向けて上昇する可能性がある。これは、ゴールドマン・サックスの商品ストラテジスト、ダーン・ストルイヴェン氏の見解だ。
不確実性が増大している中、先週の木曜日にブルームバーグ が報道したところによれば、トランプ政権の経済チームはロシアに対して対抗手段としてより厳格な制裁措置を検討しており、ウクライナの戦争に関する交渉を促す狙いがあるようだ。
新大統領がロシア大統領との首脳会談を示唆したことで、今後数か月の間に米国の政策や世界のエネルギー市場がどのように変化するのか、その中身については議論の余地がある。
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なぜ重要か:石油主要銘柄の中では、チェブロン(NYSE:CVX)が目覚ましいパフォーマンスを見せており、1月に入ってからは10%近く上昇している。一方、エクソンモービル(NYSE:XOM)は3%上昇している。
ゴールドマン・サックスのアナリスト、ニール・メータ氏が先週木曜日にシェアしたリポートによれば、チェブロンは2025年を迎えるにあたり「建設的な構造」となっており、同社のTengizプロジェクトによる期待される生産性とフリーキャッシュ・フローの向上、配当と自社株買いを通じた強力な株主リターン(年間10%程度を予測)、及び経営実行の改善が挙げられている。
投資家たちは、チェブロンがヘス社(NYSE:HES)の買収に関する最新情報にも注目している。特に、その裁定中の仲裁手続きについては。
ゴールドマン・サックスは、その結果については明確な立場を取っていない。それにもかかわらず、チェブロンの経営陣は2025年第3四半期までに問題解決すると見込んでいる。先週開催されたエネルギー・クリーンテック・ユーティリティーズ会議で、同社幹部はヘス社の立場に自信を示し、規制承認と統合計画の進展について示唆した。
チェブロンの株価はここ最近大幅に急騰しており、先週の木曜日には1か月ぶりの高値を記録している。
同社は1月31日に第4四半期決算を報告する予定で、ウォール街の予想では利益率2.22ドル、売上は472.8億ドルになるという。1年前は、チェブロンは利益率3.45ドル、売上506.7億ドルを記録していた。
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