過熱した米国株から苦境に立つ中国株に投資家の資金が流れる中、中国株が15年ぶりにS&P500を上回る強力な四半期の業績を達成する見込み。投資家は政策に期待、米国株から中国株に乗り換えている。
iシェアーズ中国大型株ETF(NYSE:FXI)の3月17日の終値は年初来26.6%上昇、2009年初め以来の最高の四半期の業績を達する見通しである。一方、SPDR S&P 500 ETF トラスト(NYSE:SPY)は、年初来3.2%下落、中国株との相対的なパフォーマンスは約30%に達し、2007年中旬以来の最大の差。
バリュー・パートナーズ・グループ(Value Partners Group) は、中国株市場について楽観的であり、「中国A株市場は底値に近い。価格や市場の期待も低いため、下落リスクは少ない」という内容のメールを月曜日に発表した。
同社は、トランプ関税、政治、中国の内需重視の国内政策と供給サイド対策に関する不確実性による変動はあるものの、2025年には市場が上昇傾向に向かうと予測している。
チャート:中国株2007年以来の最高四半期でS&P500を上回る

消費刺激を促進させる中国の政策
先週日曜日、中国政府は国内消費を刺激するための「特別行動計画」を発表した。この計画には、収入の増加、社会保障の拡大、製品の品質向上、支出を刺激するための購入制限の緩和を目的とした政策が盛り込まれている。
ゴールドマン・サックスのエコノミスト、ヤン・ユーティン(Yuting Yang)氏は、景気刺激策の方向性を認めながらも「資金調達と実施の両方が重要である」と主張した。
中国では不安定な不動産市場や労働需要の低迷により、消費者の信頼感が低下し、苦戦している。
さらに、ヤン氏は、「家計収入の改善とより持続可能な消費の回復を促進するためには、不動産価格の安定、労働需要の改善、そしてより良い社会保障ネットワークの設立が必要だ」とも付け加えた。
ハイテク大手企業が市場急騰を導く
月曜日には、アリババ・グループ・ホールディングス(NYSE:BABA)の株価が4.6%急伸し、年初来の急伸率は驚異的な74%に達した。
一方、バイドゥ(NASDAQ:BIDU)は、最新のAIモデル「アーニー(Ernie) X1」を発表して9%以上の急騰。同社はアーニー X1が半分の費用でディープシークのAIと同等のパフォーマンスをすると主張しており、世界的な技術競争における中国のAIへの意欲を強めている。
現時点の数字には説得力がある。中国株は2007年以来に見られないほどのペースで米国株を上回り、驚異的な回復が見られる。この急騰が一時的なものなのか、それとも、長期的なトレンドのはじまりなのかは北京の経済成長と投資家の信頼にかかっている。
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写真:シャッターストック