貿易摩擦の高まりや経済の不透明感から投資家がポートフォリオを守ろうと必死になっており、金は大幅上昇が続き、13日(米国)は高値更新となった。
13日の米国東部時間13時55分、金相場は1オンス2,979.76ドルで取引、1.6%上昇し、3日連続で上昇が続いた。金は年初来14%上昇、これは主要資産クラスの中で最も上昇率が高い。
SPDR S&P 500 ETF トラスト(NYSE:GLD)によると、S&P 500は5.2%下落、ビットコイン(CRYPTO:BTC)は12%下落、米ドル指数は年初来4%下落である。
なぜ金は急騰しているのか
金の急上昇は経済および政治的懸念よる。トランプ大統領政権の各国に対する高い関税措置の脅威が世界貿易戦争への懸念を再燃させたことが金の急騰要因である。
一方で、景気低迷の兆候が見え始めている。アトランタ連邦準備銀行のGDPNowは、2025年第1四半期に米国経済が2.4%の縮小を予想、JPモルガンでは今年の米国の景気後退率を40%に引き上げた。
「巨大な不明なプレイヤーが最近の金の急上昇を牽引している」と、メタルズ・デイリー(Metals Daily Ltd.) のCEOであるロス・ノーマン(Ross Norman)氏は述べた。 これは、金が一般的な取引パターンに反して、国債利回りや為替相場が変動しても上昇を続けていることで明らかである。
「トランプ大統領によって始まった貿易戦争が悪化するにつれて、金が今なお最もパフォーマンスが良い資産の1つであることは当然だ」と、ベテラン市場戦略家のエド・ヤルデニ(Ed Yardeni)氏は述べている。
今後、金はどちらに動くのか
リスク回避が感情が高まる中、アナリストたちは金の価格予測を引き上げている。 UBS投資銀行のジョニ・テベス(Joni Teves)氏はCNBCの「スクワークボックス(Squawk Box)」で「特に関税などの政治的なリスク回避には、ポートフォリオへ金を追加することが有効だ」と発言した。
UBSは、年末までに金が1オンス3,100ドルに達すると予想している。
また、マッコーリーグループのアナリストは、さらに楽観的で第3四半期に金が1オンス3,500ドルに達すると予想している。
「私たちはこれまでの金の強さ、そして今後も上昇が続くと予想しているが、これは主に投資家や公的機関が信用リスクまたは取引の相手方が債務不履行や倒産などにより取引が履行されず、損失を被るリスクないという理由から、金への購入が増加した結果だと見ている」と、マッコーリーグループは述べている。
金の急騰により、鉱業株も急騰
金の急騰によって鉱業株も上昇したが、過去の高値を大きく下回る銘柄が多い。
ヴァンエック金鉱株ETF(NYSE:GDX)は3.13%上昇、ただし2011年の最高値の35%以下での取引。 ヴァンエック・ジュニア・ゴールド・マイナーズETF(NYSE:GDXJ)も3.48%上昇、ただし2010年の最高値の70%以下での取引。
個別銘柄では、ニューモント(NYSE:NEM)は4.63%上昇。B2ゴールド(NYSE:BTG)は5.07%上昇。キンロス・ゴールド(NYSE:KGC)は2.43%上昇。フランコ-ネバタ(NYSE:FNV)は2.29%上昇。バリックゴールド(NYSE:GOLD)は2.13%上昇。
以上